医薬品

バルトレックスの長期投与? 性器ヘルペスの再発抑制の適応について調べてみた

2021/8/07(土)

 
こんにちは。Mr.Tです。
今回はバルトレックスの長期投与についてです。
 

バルトレックスの長期投与。  

バルトレックスは薬剤師であれば誰でも知っている薬だと思います。

1シート6Tであり、ヘルペスによく使われる薬ですね。

 

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例えば単純疱疹だったら1回500mgを分2、帯状疱疹だったら1回1000mgを分3。

症状や回復具合にもよりますが、どちらも5日間程度処方されます。  

このように比較的短期で使われる薬ですが、

「バルトレックス28日分」

などの長期で出された処方箋を応需したことがあるでしょうか?  

今回はバルトレックスの長期投与について調べてみました。  

 

バルトレックスの基本的事項

バルトレックスには5種類の効能・効果があります。

「用法及び用量」と「用法及び用量に関連する注意」を見ていきましょう。

以下、添付文書から引用します。
*今回は成人のみ見ていきます。  

 


  • 単純疱疹
  • 造血幹細胞移植における単純ヘルペス感染症(単純疱疹)の発症抑制 
  • 帯状疱疹
  • 水痘
  • 性器ヘルペスの再発抑制

 

単純疱疹

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。

本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

ただし、初発型性器ヘルペスは重症化する場合があるため、本剤を10日間まで使用可能とする。

造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与する。 

帯状疱疹

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。  

目安として、皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。

本剤を7日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。

 

水痘

通常、成人にはバラシクロビルとして1回1000mgを1日3回経口投与する。  

目安として、皮疹出現後2日以内に投与を開始することが望ましい。

成人においては本剤を5~7日間、小児においては本剤を5日間使用し、改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、他の治療に切り替えること。 

 

性器ヘルペスの再発抑制

通常、成人にはバラシクロビルとして1回500mgを1日1回経口投与する。

なお、HIV感染症の患者(CD4リンパ球数100/mm3以上)にはバラシクロビルとして1回500mgを1日2回経口投与する。  

免疫正常患者において、性器ヘルペスの再発抑制に本剤を使用している際に再発が認められた場合には、1回500mg1日1回投与(性器ヘルペスの再発抑制に対する用法及び用量)から1回500mg1日2回投与(単純疱疹の治療に対する用法及び用量)に変更すること。

治癒後は必要に応じ1回500mg1日1回投与(性器ヘルペスの再発抑制に対する用法及び用量)の再開を考慮すること。

また、再発抑制に対して本剤を投与しているにもかかわらず頻回に再発を繰り返すような患者に対しては、症状に応じて1回250mg1日2回又は1回1000mg1日1回投与に変更することを考慮すること.

本剤を1年間投与後、投与継続の必要性について検討することが推奨される    

 

 

よく処方されるのは単純疱疹と帯状疱疹だと思います。

各薬局によって異なるので一概には言えませんが、Mr.Tがいる薬局では9割がどちらかです。

これら2つは日数がほぼ決まっていて、添付文書上でも長くて7~10日間ですね。

以上より、通常の単純疱疹と帯状疱疹の治療でバルトレックス28日分はありえません。  

長期で出しても問題ない適応は以下の2種類。


  • 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制 
  • 性器ヘルペスの再発抑制

 

前者は造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日までと完全に日数が決まっています。  

問題は後者ですね。

「本剤を1年間投与後、投与継続の必要性について検討することが推奨される」

「1年も継続するのか?」

と思ってしまいます。

 

性器ヘルペスの再発抑制の為の抑制療法

年6回以上再発を繰り返す患者は「抑制療法」という、一定量の抗ウイルス薬を毎日内服し続ける治療法があります。

バルトレックスを1日1回500mgを毎日内服を約1年間継続し、中断後再発が2回観察された場合、さらに継続するかを検討します。

抑制療法中に再発した場合、1日1回500mgを1日2回5日間内服し、その後1日1回に戻します。

抑制療法を行っても再発頻度が減少しない場合には1回250mgを1日2回または1回1000mgを1日1回にします。

 

先発品とジェネリックの薬価

*R3.8月現在  

錠剤


  • バルトレックス錠500mg(先発品):324.20
  • バラシクロビル錠500mg(ジェネリック):79.80~184.50   

 

顆粒


  • バルトレックス顆粒(先発品):50%:329.00
  • バラシクロビル顆粒50%(ジェネリック):144.30~194.20  

 

まとめ

性器ヘルペスの再発抑制でバルトレックスの長期投与が行われるのですね。

1年間ずっと服用とは限りませんが、再発が多いと用法・用量も変わってきます。

性器ヘルペスはかなりデリケートな疾患なので、なかなか薬剤師に詳しく聞けない患者さんも多いと思います。

特に患者さんが女性、薬剤師が男性であればほとんど話してもらえないことが多いです。

女性疾患でなかなか詳しく聞き取れないメンズの薬剤師は多いと思います。

もちろん、Mr.Tもそうです。

面でやっていて、新患や一回ぽっきりで終わってしまう患者さんが多いので、なかなか患者さんと密な関係を築くことが難しいです。

質問されたときに患者さんが納得できるような回答ができないと信頼を失ってしまいます。

今回の例では処方箋から疾患の判断と、継続であれば症状の判断を的確に行わなければなりません。

聞かれた時にスラスラ答えられる薬剤師になりたいものですね。  

 

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参考文献:

  1. バルトレックス錠500添付文書

  2. 薬価サーチ

  3. ヘルペスと帯状疱疹 Q10 - 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会)

 

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