
こんにちは。Mr.Tです。
今回は処方日数制限がある医薬品についてです。
処方日数制限。
処方日数が制限されている医薬品があります。
主に新医薬品、麻薬、向精神薬、覚醒剤原料です。
例えば不安・不眠などに使われる「デパス錠」は向精神薬で上限が30日と決められています。
31日分処方・調剤すると特別な理由がない限り、確実に返戻になります。
昔は向精神薬ではなかったので上限がなかったのですが、現在は第三種向精神薬に指定されているので上限があります。
知識がないと対応できません。
すべて覚えるのは難しいですが、一度どのような薬が制限されているのか確認しておいた方がいいと思います。
今回は処方日数制限がある医薬品について一覧にしてまとめてみました。
*表が切れてたら横にスクロールしてください。
Contents
処方日数制限がある医薬品
ココがポイント
- 新医薬品
- 麻薬
- 向精神薬
- 覚醒剤原料
新医薬品
発売後、1年間は14日分制限。
新医薬品(以下新薬)は、思ってもみない副作用が出る恐れがあるので日数制限があります。
この日数制限は、薬価基準収載の翌月の初日から1年間です。
薬価収載は年4回行われるので、どの新薬がいつ薬価収載され、いつから日数制限が解除されるのか注意しなければなりません。
新医薬品の薬価収載 |日本薬剤師会 (nichiyaku.or.jp)
麻薬・向精神薬・覚醒剤原料
ココがポイント
- 内服:1回14日分、30日分、90日分
- 外用・注射:1回14日分、30日分
麻薬・向精神薬・覚醒剤原料は取扱いが非常に厳しいです。
依存性や重大な副作用が起こる可能性もあり、患者さんの容体を見ながら処方されるのが望ましいので、普通に考えて長期で出す薬ではありませんよね。
処方日数制限一覧
日数別にまとめました。
ジェネリックの会社名などは「●●」で表しています。
新医薬品
2021年度版の新薬についてはこちらから⇩
-
【2021年度版 処方日数上限解除一覧】 処方日数上限が解除される新医薬品をまとめてみた
麻薬
商品名 | 一般名 |
アヘン末/散/チンキ「●●」 アヘン散/チンキ | アヘン末 |
ドーフル散 | アヘン末 トコン末 |
パンオピン「●●」 | アヘンアルカロイド(オピアル) |
オキファスト注10mg/50mg オキシコドン注射液10mg/50mg「●●」 | オキシコドン |
パビナール注「●●」 | オキシコドン ヒドロコタルニン (複方オキシコドン、複方ヒコデノン) |
メテバニール錠2mg | オキシメテバノール |
コカイン塩酸塩「●●」原末 | コカイン |
ナルベイン注2mg/20mg | ヒドロモルフォン |
アブストラル舌下錠100μg/200μg/400μg イーフェンバッカル錠 50μg/100μg/200μg/400μg/600μg/800μg | フェンタニル |
メサペイン錠5mg/10mg | メサドン |
第二種向精神薬
商品名 | 一般名 |
イソミタール原末 | アモバルビタール |
ソセゴン錠25mg | ペンタゾシン |
ノルスパンテープ5mg/10mg/20mg レペタン坐剤0.2mg/0.4mg | ブプレノルフィン |
ラボナ錠50mg | ペントバルビタール |
第三種向精神薬
商品名 | 一般名 |
メンドンカプセル7.5mg | クロラゼプ |
ダイアップ坐剤4/6/10 | ジアゼパム |
ルピアール坐剤25/50/100 ワコビタール坐剤15/30/50/100 | フェノバルビタール |
ブロマゼパム坐剤3mg「●●」 | ブロマゼパム |
サノレックス錠0.5mg | マジンドール |
ブコラム口腔用液2.5mg/5mg/7.5mg/10mg | ミダゾラム |
30日制限
麻薬
商品名 | 一般名 |
オキノーム散 2.5mg/5mg/10mg/20mg オキシコドン錠 2.5mg/5mg/10mg/20mg「●●」 オキシコドン錠 2.5mgNX/5mgNX/10mgNX/20mgNX「●●」 オキシコドン内服液 2.5mg/5mg/10mg/20mg「●●」 オキシコンチンTR錠 5mg/10mg/20mg/40mg オキシコドン徐放錠 5mg/10mg/20mg/40mg「●●」 オキシコドン徐放錠 5mgNX/10mgNX/20mgNX/40mgNX「●●」 オキシコドン徐放カプセル 5mg/10mg/20mg/40mg「●●」 | オキシコドン |
コデインリン酸塩錠20mg/散10%/水和物原末「●●」 | コデイン |
ジヒドロコデインリン酸塩散10%/原末「●●」 | ジヒドロコデイン |
タペンタ錠25mg/50mg/100mg | タペンタ |
ナルサス錠2mg/6mg/12mg/24mg ナルラピド錠1mg/2mg/4mg | ヒドロモルフォン |
デュロテップMTパッチ 2.1mg/4.2mg/8.4mg/12.6mg/16.8mg フェンタニル3日用テープ 2.1mg/4.2mg/8.4mg/12.6mg/16.8mg「●●」 ラフェンタテープ 1.38mg/2.75mg/5.5mg/8.25mg/11mg ワンデュロパッチ 0.84mg/1.7mg/3.4mg/5mg/6.7mg フェンタニル1日用テープ 0.84mg/1.7mg/3.4mg/5mg/6.7mg「●●」 フェントステープ 0.5mg/1mg/2mg/4mg/6mg/8mg フェンタニルクエン酸塩1日用テープ 1mg/2mg/4mg/6mg/8mg「●●」 フェンタニル注射液 0.1mg/0.25mg/0.5mg「●●」 | フェンタニル |
オプソ内服液5mg/10mg パシーフカプセル30mg/60mg/120mg モルヒネ塩酸塩錠10mg「●●」 モルヒネ塩酸塩水和物「●●」原末 アンペック坐剤10mg/20mg/30mg アンペック注10mg/50mg/200mg モルヒネ塩酸塩注射液10mg/50mg/200mg「●●」 モルヒネ塩酸塩注100mgシリンジ「●●」 MSコンチン錠10mg/30mg/60mg MSツワイスロンカプセル10mg/30mg/60mg モルヒネ硫酸塩水和物徐放細粒分包10mg/30mg「●●」 モルぺス細粒2%/6% | モルヒネ |
第一種向精神薬
商品名 | 一般名 |
コンサータ錠18mg/27mg/36mg リタリン錠10mg | メチルフェニデート |
モディオダール錠100mg | モダフィニル |
第二種向精神薬
商品名 | 一般名 |
レペタン注0.2mg/0.3mg ブプレノルフィン注0.2mg/0.3mg「●●」 | ブプレノルフィン |
サイレース錠1mg/2mg フルニトラゼパム錠1mg/2mg「●●」 | フルニトラゼパム |
第三種向精神薬
商品名 | 一般名 |
コンスタン錠0.4mg/0.8mg ソラナックス錠0.4mg/0.8mg アルプラゾラム錠0.4mg/0.8mg「●●」 | アルプラゾラム |
ユーロジン1mg錠/2mg錠/散1% エスタゾラム錠1mg/2mg「●●」 | エスタゾラム |
デパス錠0.25mg/0.5mg/1mg/細粒1% エチゾラム錠0.25mg/0.5mg/1mg/細粒1%「●●」 | エチゾラム |
セレナール錠5/10/散10% | オキサゾラム |
ドラール錠15/20 クアゼパム錠15mg/20mg「●●」 | クアゼパム |
セパゾン錠1/2/散1% | クロキサゾラム |
リーゼ錠5mg/10mg/顆粒10% クロチアゼパム錠5mg/10mg「●●」 | クロチアゼパム |
クロルジアゼポキシド5mg/10mg/散1%「●●」 5mgコントール錠/10mg/散1%/散10% バランス錠5mg/10mg/散10% | クロルジアゼポキシド |
アモバン錠7.5/10 アモバンテス錠7.5/10 ゾピクロン錠7.5mg/10mg「●●」 | ゾピクロン |
マイスリー錠5mg/10mg ゾルピデム酒石酸塩錠5mg/10mg「●●」 ゾルピデム酒石酸塩OD錠5mg/10mg「●●」 ゾルピデム酒石酸塩ODフィルム5mg/10mg「●●」 | ゾルピデム |
ハルシオン0.125mg錠/0.25mg錠 トリアゾラム錠0.125mg/0.25mg「●●」 ハルラック錠0.125mg/0.25mg | トリアゾラム |
ソメリン錠5mg/10mg/細粒1% | ハロキサゾラム |
エリスパン錠0.25mg | フルジアゼパム |
ダルメートカプセル15 | フルラゼパム |
レンドルミン錠0.25mg/D錠0.25mg ブロチゾラム錠0.25mg「●●」 ブロチゾラムOD錠0.25mg「●●」 | ブロチゾラム |
レキソタン錠1/2/5/細粒1% セニラン細粒1% ブロマゼパム錠1mg/2mg/3mg/5mg/細粒1%「●●」 | ブロマゼパム |
ベタナミン錠10mg/25mg/50mg | ペモリン |
レスミット錠2/錠5 メダゼパム錠2/錠5 | メダゼパム |
トランコロンP配合錠 | メペンゾラート フェノバルビタール |
メイラックス錠1mg/2mg/細粒1% ロフラゼプ酸エチル錠1mg/2mg「●●」 | ロフラゼプ |
ワイパックス錠0.5mg/1mg ロラゼパム錠0.5mg/1mg「●●」 | ロラゼパム |
エバミール錠1.0 ロラメット錠1.0 | ロルメタゼパム |
覚醒剤原料
商品名 | 一般名 |
ビバンセカプセル20mg/30mg | リスデキサンフェタミン |
90日制限
第三種向精神薬
商品名 | 一般名 |
ランドセン錠0.5mg/1mg/2mg/細粒0.1%/0.5% リボトリール錠0.5mg/1mg/2mg/細粒0.1%/0.5% | クロナゼパム |
マイスタン錠5mg/10mg/細粒1% | クロバザム |
2mgセルシン錠/5mg/10mg/シロップ0.1%/散1% ホリゾン錠2mg/5mg/散1% ジアゼパム錠2mg/5mg/10mg/散1%「●●」 | ジアゼパム |
ネルボン錠5mg/10mg/散1% ベンザリン錠2/錠5/錠10/細粒1% ニトラゼパム錠5mg/10mg/細粒1%「●●」 | ニトラゼパム |
複合アレビアチン配合錠 | フェニトイン フェノバルビタール |
ヒダントールD配合錠/E/F | フェニトイン フェノバルビタール 安息香酸ナトリウム |
フェノバールエリキシル0.4%/錠30mg/散10%/原末 フェノバルビタール散10%/原末「●●」 | フェノバルビタール |
特殊な事情で投与日数延長
特殊な事情がある場合に限り、必要最低限の範囲において、1回30日分を限度として投与が認められています。
この特殊な事情とは
- 海外渡航
- 年末年始
- ゴールデンウィーク
以上の3つです。
長期休暇の時と考えればいいですね。
お盆休みは法定休暇ではないので、長期休暇の対象には認められません。
また、日数制限を延長できるのは、14日後が休みにかかる場合のみとなっています。
しかし、現在では「特殊な事情」の解釈が柔軟になり、長期の休みを認める場合もあります。
県によって解釈が違うところが複雑になってしまいますが、基本的には日数制限以上の投与をしない方が無難です。
また、特殊な事情でも31日以上の投与は認められていないので注意しましょう。
レセプトに理由を記載
上記で説明した特殊な事情で投与日数を延長した場合、必ずレセプトに理由を記載しなければなりません。
「年末年始のため長期投与。医師に確認済。」
これぐらいで構いません。
理由を書かずに調剤すると確実に支払基金から返戻が来るので、必ず理由を記載するようにしましょう。
もっと詳しく
処方日数一括変更で間違いやすい
レセコンにもよると思いますが、複数の薬が処方されている場合、処方日数を一括で変更できる機能があります。
Do処方で処方日数だけ違う場合、1剤1剤変更するのは面倒ですから。
そんな時に注意が必要です。
いつもは30日分で処方されているのに、今回から60日分に変更。
処方日数一括変更を使うとすべて60日分になります。
その処方の中にデパス錠などが入っていたらアウトです。
病院・薬局共に入力する際によく起きるミスです。
このような形で病院でのミスを見つけ、疑義照会をかけて上限日数を伝えるのはよくあるケースです。
あくまで病院のミスなので加算等は一切取れませんのでご注意を。
もっと詳しく
まとめ
今回は処方日数制限がある医薬品についてまとめてみました。
量が多いですね。
まず、量が少ない14日分、90日分から覚えましょう。
それ以外は30日分と覚えて特に問題ありません。
30日分は量が多いので、すべて覚えるのは難しいでしょう。
最近のレセコンは処方日数制限を超えて入力するとアラートが出るものもあります。
しかし、病院でミスした処方せんが薬局に来るということはアラートが出ず、入力者が知識不足ということも十分あり得ます。
確実に返戻になるので注意しましょう。
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