薬局・薬剤師

廃棄率の計算式とロス率を下げる方法について徹底解説【廃棄薬削減】

2021/7/03(土)

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Mr.T

こんにちは。Mr.Tです。

今回は廃棄薬削減の重要性と廃棄率を下げるための戦略についてです。

 

廃棄薬。

 

廃棄薬の削減はどこの薬局も取り組まなければならない難題であり、管理者たちが常に頭を抱えている問題だと思います。  

単純にロスになるのでいいことは一つもありません。

なので、個人の薬局でも大手でもチェーンでも、すべての薬局が廃棄率に関してはシビアに取り組んでいかなければなりません。  

 

しかし、いきなり「廃棄率を削減しろ」と言われても何から手をつければいいのかわからないと思います。

実際に他の薬局の取り組みを見ても、ただ単に他の薬局にお願いするぐらいしかしていない管理者もほとんどです。  

 

Mr.Tは廃棄率に関してはかなりシビアに取り組んできました。

会社からも厳しく言われているのですが、どの年も0.15%以上の廃棄率を出すことはありません。

 

今回は廃棄薬削減の重要性と廃棄率を下げるための戦略について説明します。

 

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廃棄率の基礎

廃棄率は

 

廃棄率 = 廃棄金額 ÷ 薬剤料

 

で算出します。

 

仮に月の薬剤料が1千万で廃棄率が0.15%だとしたら、廃棄金額は15,000円ですね。  

 

廃棄金額 = 廃棄率 × 薬剤料

 

この式で簡単に数値を出すことができます。

 

廃棄率の重要性

なぜそんなに廃棄率を下げることが重要なのでしょうか?

 

数字の観点から廃棄率の重要性について見ていきましょう。  

 

例題

売上金額:15,000,000
薬剤料:10,000,000
廃棄率目標:1%以下
営業利益率:10%
処方箋の1枚単価:10,000

 

例として、上記の薬局の数値で廃棄率を1%以内に抑えろと言われたとしましょう。

 

廃棄率 = 廃棄金額 ÷ 薬剤料

 

なので、廃棄金額を計算してみると

 

廃棄金額 = 廃棄率 × 薬剤料
             = 0.01(1%) × 10,000,000
             =100,000

 

10万円まで廃棄額を出していいことになります。

この10万円はもちろん赤字です。
マイナスですから。

 

では、この10万円を相殺するにはいくらの売上を挙げればいいと思いますか?

 

「うちの薬局は1枚単価が1万円だから、処方箋が10枚くれば10万円。あれ?以外に楽じゃん。」

 

と思った人、明らかに数字に関して勉強不足です。

 

以下の数字に関する記事で勉強し直しましょう

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ここでP/L(損益計算書)でよく使う用語。

 

営業利益とは、「会社が本業で稼いだ利益のこと」と説明されますが、単純に自分たちで言えば給料の手取りだと考えてください。

自由に使えるお金のことです。

 

営業利益率とは、営業利益の売上高に対する割合をいいます。

 

この営業利益から廃棄分を相殺すると考えた方がいいでしょう。

 

1万円の営業利益があり、廃棄金額が1万円だったらプラスマイナスでゼロですね。

 

営業利益は自分たちが自由に使えるお金です。

売上高や粗利高とは違います。  

 

例えば今回の例だと営業利益率が10%。

廃棄金額が10万円。

 

10万円を相殺するにはいくらの売上を挙げればいいのか?  

このように考えてみましょう。

 

営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上

 

で表します。

 

今回は廃棄金額の相殺分を営業利益として考えてみましょう。

相殺するには売上をいくら挙げればいいか計算ができます。

 

営業利益率 = 営業利益(廃棄金額)÷ 売上

 

売上 = 営業利益(廃棄金額)÷ 営業利益率
   = 100,000 ÷ 0.1(10%)
        = 1,000,000  

 

10万円分の廃棄を相殺するには100万円の売上を挙げなければいけません。

売上が1千500万円なので、売上の約6.7%を占めてしまいます。

1枚単価が1万円だと、処方箋が100枚来ないと相殺できないことになります。

100枚って結構な量ですね。

 

10万円の廃棄を相殺する大変さがおわかり頂けたでしょうか?

だからこそ廃棄率には皆さん、シビアになるのです。

 

この数字を見て、自分の店舗を計算してみましょう。

もちろん、店舗によって数値は全然違います。

今回は計算しやすいように単純な数値にしてみました。

 

1ヶ月あたりいくらまで廃棄薬をだすことができるのか?

廃棄率に関する考え方、取り組み方がきっと違ってくると思います。 

 

廃棄率削減の為の戦略

「重要性はわかったが、実際にどうすればいいの?」

という疑問を持つ人がほとんどだと思いますので、今回はMr.Tが実際に行っている廃棄率削減方法について説明していきます。

 

現在の状況を知る

まず、現在の状況を知るところから始めましょう。

廃棄薬は当店舗では処方されないから出てしまうものです。

基本的には他店舗に引き取ってもらう、業者に頼むなどの方法しかありませんが、むやみに行っていても効率が悪く、目標を達成することができません。

 

その前に現状を知るところから始めましょう。

 

廃棄率の目標は?

会社、あるいはその薬局での廃棄率の目標を確認しましょう。

金額なのか、割合なのか。

数値によってどのような戦略を立てていくのか異なるので、しっかりと確認しましょう。

 

1年間、1ヶ月の薬剤料は?

廃棄率 = 廃棄金額 ÷ 薬剤料

で算出されます。

 

まず、自店舗の薬剤料を計算してみましょう。

 

1年で劇的に数値が変わるということは新店ではない限りありませんので、昨年の数値をサンプルにして計算し、おおよその金額を出してみましょう。

 

どれだけの廃棄額を出せる?

上記で廃棄金額の目標、薬剤料を出しました。

例を挙げて計算してみましょう。

 

例題

廃棄率目標:1%
昨年1年間の薬剤料:120,000,000 
1ヶ月の薬剤料:10,000,000

 

計算を簡単にするために1ヶ月の薬剤料を1千万円とし、1年間で1億2千万円の薬剤料を使用しているとします。

 

廃棄率 = 廃棄金額 ÷ 薬剤料 

より、

廃棄金額 = 廃棄率 × 薬剤料

 

1年間の廃棄金額は
廃棄金額 = 0.01(1%) × 120,000,000
= 1,200,000

1ヶ月の廃棄金額は
廃棄金額 = 0.01(1%) × 10,000,000
= 100,000

1年間で120万円、1ヶ月で10万円の廃棄金額を出せることがわかります。

 

リストを出す

リストを出すときに五十音順でリストを出し、「ア」から一つずつ処理するのは時間の無駄です。

センスがないです。

 

優先順位を決めるためにも高額医薬品・期限切迫品のリストを出しましょう。

 

薬局でソフトを使っていれば出せると思いますし、Excelにデータを移し、フィルター機能を使えばすぐにできます。

 

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高額医薬品のリスト

算定期間の高額医薬品のリストを出してみましょう。

 

明らかに高い薬から処理した方が効率的です。

廃棄金額が10万円の薬と10円の薬、どちらの優先順位が高いですか?

 

期限切迫品のリストを出す

算定期間の期限切迫品のリストを出してみましょう。

 

  • 1年間すべての医薬品のリスト
  • 1ヶ月ごとの計12ヶ月分
  • 更に高額医薬品順にリストを出す 

 

明らかに期限が近い薬から処理した方が効率的です。

期限が残り3カ月の薬と12カ月の薬、どちらの優先順位が高いですか?

 

どちらから処理していく?

リストを出したところで高額医薬品と期限切迫品のどちらから処理していくかを考えます

明らかに高額医薬品かつ期限切迫品の薬から処理していった方がいいでしょう

最優先事項です。

 

後は自店舗の数字と相談し、自分で判断しましょう。

 

期限が近すぎるものはどこの店舗も取ってくれません。

特に外用剤などで薬に期限が記載してあるものはほぼ不可能です。

 

ある程度見切りをつける

期限切迫品から処理するのがオススメですが、廃棄金額が低いものを一生懸命処理する必要がありますか?

 

上記の例では、1ヶ月で薬剤料が1千万、10万円の廃棄金額を出せるとのことでした。

廃棄金額が100円のものは1ヶ月で廃棄率がいくらになるでしょう?

0.001%ですね。

この薬を処理する意味はあると思いますか?

 

確かに数が多ければ「塵も積もれば…」で膨れ上がりますが、100円の薬だったら100個廃棄しても1万円、これでやっと0.1%です。

どれぐらいの個数がリストで挙がるかは店舗によりけりですが、薬剤料が多い店舗ほど廃棄薬の数も多くなっていきます。

すべて処理するのは不可能です。

 

ある程度の見切りをつけるために1年間、1ヶ月間の数値を算出し、リストを出しているのです。

1年、1ヶ月のリストを見ながら、

「この金額以下は廃棄していいや」

という、見切りをつけましょう。

 

他の店舗でよく出るところを探す

ある程度戦略を立てることができたら他の店舗にかけあいましょう。

個人の店舗でない限りはグループとして経営しているのでパイプがあるでしょう。

 

個人の店舗でも薬剤師会に入っていればお願いすることもできるでしょう。

 

不動在庫を買い取ってくれる業者もあります。

利用したことがないので金額などの詳細はわかりませんが…

 

分類して手分けする

一人店舗でなければ仕事を分担しましょう。

先ほど言ったように、すべての薬を処理することは不可能ですし、できたとしても非常に効率が悪い。

だからリスト化しているのです。

 

例えばMr.Tだったら4段階にわけます。

 

  1. 高額医薬品かつ期限切迫品
  2. ①以外で早めに処理して欲しい薬
  3. 優先事項が低い薬(そこまで高額ではない、まだ期限に余裕があるなど)
  4. 期限切迫品ではないが不動在庫の薬

 

①は自分がやるか、絶大な信頼を置ける人に任せます。

②は信頼がおける人に任せます。

③はこれから在庫管理を任せたいと思う人に任せます。

④は数字には関係してこない不動在庫で、新人や在庫管理をまったくやったことのない人に練習で任せます。

 

このようにすることで仕事が分担され、効率化が図れます。

慣れてくると周りのレベルがどんどん上がっていき、上記で記載した数字の番号が若い仕事を任せれるようになってくるので自分の負担が少なくなってきます。

他の人に任せている場合は定期的に様子を見ましょう。

 

月が過ぎるにつれて期限が切迫してくるので、処理できないとすべて自分に回ってくる可能性もあるので注意を。

 

まとめ

廃棄率の削減方法について説明してきました。

文章にすると長いですが、まとめると

 

ココがポイント

  • 現状を知る
  • リスト化して目に見えるようにする
  • 戦略を立ててある程度の見切りをつける 
  • 仕事を分担する

 

これだけなんですよね。

現状を知らず、何も目標を立てず、見切り発車で片っ端から処理していこうとするから非効率的なんです。

 

薬剤料が少ない店舗はなかなか廃棄率を減らすのは難しいと思います。

1ヶ月に処方箋枚数が100枚程度の店舗で、1万円の廃棄金額を出してしまえば廃棄率はかなり上がってしまいます。

 

「廃棄率を下げることは重要だ」と頭の中では理解していても、実際に数字をだしてみると印象が違ってくるのではないでしょうか?

失った分をどれだけ稼げば相殺できるのか、どれだけ頑張れば取り戻せるのかを計算して見ると大変さがわかってきます。

だからこそ数字に強くなければいけないのです。

 

確かに色々数字を出したり、リスト化するのは面倒くさいですし、時間もかかります。

しかし、パソコンのスキルがあれば計算やリスト化はパソコンが勝手にやってくれます。

だからこそ調剤業務だけでなく、数字やパソコンスキルも必要だとこのブログでは何度も言っているのです。

目に見えるようにするというのは何をするにも有効的です。

 

実際に自分が管理薬剤師になったり、仕事を任せられたときにある程度知識を持っていればスムーズに仕事をこなせますし、信頼もされます。

少しずつでもいいので、調剤の知識以外にも数字や管理業務などを学んでいきましょう。

 

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