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【P/L(損益計算書)】数字って難しい? ドラッグストアのP/Lの見方について徹底解説

2021/3/24(水)

※アフィリエイト広告を利用しています。

 

Mr.T

こんにちは。Mr.Tです。
今回はP/L(損益計算書)についてです。

 

P/L(損益計算書)。
Profit & Loss Statement。

 

店舗の数字を表したものです。

通知表みたいな物ですね。  

 

管理職はこのP/Lを見ながら喜んだり、頭を悩ませたり、戦略を練ったりします。  

 

今回はドラッグストアのP/Lについて説明していきたいと思います。

 

なお、今回解説する項目は、一般的に書籍やネットで説明されているものとは少し異なります。

一般的に説明されているものは会社全体のP/Lであり、今回Mr.Tが説明するのは各店舗のP/Lなので見るポイントが違ってきます。

 

ドラッグストア勤務の人はP/Lは避けては通れないのでぜひ参考にしてみてください。

また、今回例で挙げる数値はすべてMr.Tが勝手に作り上げたものです。

どこかのお店の数字を引用してきたわけではないのでご安心ください(笑)。

 

各項目の数字ももちろん連動していません。

所々難しい用語も出てきますので、完全な初心者は理解できないと思います。

まず一冊、何でもいいので決算書関連の本を読んで基礎知識を入れましょう。

Mr.Tはこの本で勉強しました。

 

 

決算書・P/Lを勉強したい人はこちらから

【決算書】薬剤師は数字が苦手? 決算書を読めるようになるMr.Tのおすすめ本を紹介
【決算書】薬剤師は数字が苦手? 決算書を読めるようになるMr.Tのおすすめ本を紹介

 

*予算:会社が掲げる目標と解釈して下さい。
*粗利:「売上」から「原価」を引いた後に残る利益です。
*営業利益:会社が本業で稼いだ利益のこと。給料でいう手取りと考えてOK。

 

調剤

薬剤師ですので、調剤の項目から見ていきましょう。

調剤売上

前年10,000,000
予算11,500,000
当月11,000,000
前年比110%
予算比95.7%

 

前年よりは売上が伸びていますが、予算は達成していないことがわかります。

 

調剤粗利額

前年3,500,000
予算4,500,000
当月4,000,000
前年比114%
予算比88.9%

 

前年よりは粗利が伸びていますが、予算は達成していないことがわかります。

調剤の粗利や売上は「面」だと非常に安定しにくいです。

急に肝炎や抗がん剤などの高額医薬品がくると一時的に売上が跳ね上がりますが、翌年には予算が上がってしまいます。

肝炎の薬は数カ月で終わってしまうので、翌年は来ません。

高額医薬品が来たからと言って素直には喜べないのです。

 

調剤粗利率

前年37.0%
予算36.0%
当月35.0%

 

粗利率とは売上に対する粗利の割合なので、当月は35%の粗利が出ていることになります。

前年も予算も下回っていることがわかります。

 

調剤構成比

前年17.0%
予算20.0%
当月19.0%

 

構成比というのはどれだけ占めているかということです。

調剤構成比が20%だったら、店舗全体の売上のうち20%が調剤の売上を占めているということです。

調剤の構成比が高いほど、その店舗の調剤は勢いがあると判断できます。

 

処方箋枚数

前年900
予算1,000
前年比111%

 

これは簡単ですね。

単純な処方箋枚数です。

前年より増えていることがわかります。

 

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処方箋単価(1枚当たり)

前年10,000
予算11,000
前年比110%

 

処方箋単価とは、処方箋一枚当たりの調剤報酬のことです。

1枚で1万円近く稼ぐことができます。

最初は「え?そんなに?」思うでしょうが、眼科や歯科などの安い処方せんもあれば、内科や高額医薬品などの1枚数十万から数百万もする処方せんもあります。

平均すると大体1万円前後になるのです。

 

高ければ高いほど売上が上がるのはわかると思いますが、高過ぎは危険です。

大体12,000を超えると国から目をつけられます。

 

「この薬局もうけ過ぎじゃない?ちゃんとやってるのかチェックするか」

 

となるのです。

 

様々な加算をつければ値段を上げることができます。

例えばハイリスク加算や乳幼児加算など。

これらを算定する為には算定要件を満たし、きちんと指導することが必要です。

 

しっかりと指導できないようであれば算定しない方が無難です。

 

もっと詳しく

 

物販

実績

物販売上50,000,000
損益分岐点45,000,000

 

物販の売上が5千万だということです。

損益分岐点とは、売上高と経費が等しくなる点のことです。

損益がプラスでもなくマイナスでもなく、ゼロとなる状態のことをいいます。

今回は損益分岐点が45,000,000なので、ここが点。

この数字ぴったしの売上だったらゼロ。

超えれば利益
下回れば赤字ということです。

今回は5,000,000の利益が出ているということになります。

 

営業利益

前年3,700,000
予算4,000,000
当月3,750,000
前年との差額50,000

 

営業利益とは、「会社が本業で稼いだ利益のこと」と説明されますが、単純に自分たちで言えば給料の手取りだと考えてください。

自分で自由に使えるお金。

会社としての最終的な利益です。

 

前年は超えましたが、予算は達成できなかったことがわかります。

 

営業利益率

前年7.0%
予算8.0%
当月7.5%

 

営業利益率は、営業利益の売上高に対する割合をいいます。

「営業利益÷売上=営業利益率」という式が成り立ちます。

 

当月で言えば売上に対して7.5%分が純粋な利益、自分たちで使えるお金ということです。

売上が50,000,000で営業利益率が7.5%であれば

営業利益は50,000,000×7.5%=3,750,000となります。

5千万の売上で375万の儲けになるのです。

 

最初に見たときは少ないと思ってしまいましたが…

稼ぐって大変。

 

物販売上

前年45,000,000
予算47,000,000
当月50,000,000
前年比111%
予算比106%

 

前年、予算を上回っていることがわかります。

 

物販粗利額

前年12,000,000
予算13,000,000
当月13,000,000
前年比108%
予算比100%

 

前年より上回り、予算はぴったりで達成ということになります。

 

物販粗利率

前年26.7%
予算27.6%
当月26.0%

 

当月は前年を下回り、予算も達成できなかったことがわかります。

 

物販+調剤

売上高(物販+調剤)

前年55,000,000
予算57,000,000
当月61,000,000
前年比111%
予算比107%

 

物販と調剤を合わせたトータルの数字です。

前年、予算を上回っていることがわかります。

 

粗利額

前年15,000,000
予算16,000,000
当月17,000,000
前年比113%
予算比106%

 

前年、予算を上回っていることがわかります。

 

粗利率

前年27.2%
予算28.0%
当月27.8%

 

前年は上回りましたが、予算は少し届かなかったですね。

 

客数

前年25,000
当月30,000
前年比120%

 

1ヶ月に何人のお客さんが買い物をしたかどうかです。

お会計をしたら1カウントなので延べ人数であり、店内に入ったが買い物をしなかった人はカウントされません。

 

1ヶ月で3万人のお客さんが来ていることがわかります。

前年より増えていることもわかりますね。

 

総販売点数

前年145,000
当月150,000
前年比103%

 

どれだけの商品が売れたかです。

1ヶ月で15万個の商品が売れたことになります。

前年を超えてますね。

 

買上点数

前年6.05
当月5.50
前年差▲0.55

 

買上点数とは、一人のお客さんが1回の会計で何個の商品を買ったかということです。

当月は5.50なので、平均して1回の会計で1人のお客さんが5.50個の商品を買ったことになります。

前年より下がっていますね。

 

一品単価

前年400
当月410
前年比103%

 

1人の買物客の1品当りの平均購入金額のことです。

平均して一つの商品の値段が当月では410円であることがわかります。

前年を超えていることがわかります。

 

客単価

前年2,300
当月2,200
前年比95.7%

 

1回のお会計でお客さん1人当たりが支払う総額のことです。

当月では1回の会計で平均2,200円購入していることになります。

前年を下回っていることがわかります。

 

人件費

前年8,000,000
予算8,100,000
当月8,200,000
前年比103%
予算比101%

 

人件費とは従業員に支払う給料のことですが、それだけはありません。

各種手当や賞与、社会保険料等の福利厚生費、社宅費用など、雇用によって発生する様々な費用が含まれます。

前年、予算共に上回ってますね。

 

人件費率

前年14.5%
予算14.2%
実績13.4%

 

人件費率とは、売上高に対してどれくらいの人件費がかかっているのかという数字です。

売上÷人件費で算出されます。

前年、予算より下回っていることがわかります。

 

この数字は下回る方がいい数字であることがわかると思います。

人件費が少ない方が利益が上がるので。

 

労働分配率

前年50.0%
予算48.0%
当月51.0%
前年比102%
予算比106%

 

労働分配率とは、会社が生み出した付加価値(売上によって新たに生み出した価額)を労働力、つまり人件費にどれだけ分配したのかを見るための指標です。

以下の計算式で計算します

労働分配率=人件費÷付加価値

 

従業員にとってみれば、給料は高い方がよいので労働分配率が高い方が望ましいですが、会社にとっては高すぎる労働分配率はよろしくありません。

人件費に傾きすぎると利益がなくなります。

一般的には適正な労働分配率の水準は、50%以下に抑えるとよいと言われています。

 

当月は50%を超え、前年、予算を超えてしまっているのでもう少し押さえたい所ですね。

 

労働時間に対する項目

調剤抜き

労働時間2,800
人時生産性4,500
人時売上高 17,000

 

1ヶ月の全従業員の労働時間が2,800時間ということを表します。

人時生産性とは従業員1人が1時間働く際の生産性(粗利)のことです。

1時間で4,500円分の働きをしていることになります。

 

人時売上高とは従業員1人当たり、1時間にどの程度の売上を出したかを表す数値です。

1時間で17,000円分の売上を出していることがわかります。

 

調剤込み

労働時間3800
人時生産性 4,400
人時売上高16,500

 

調剤が入ると人時生産性、人時売上高が共に数字が下がりました。

薬剤師は給料が高い、調剤の方に人件費かかかっているため下がってしまったと考えられます。

 

広告宣伝費

前年900,000
予算950,000
当月850,000
前年比94.4%
予算比89.5%

 

宣伝のためのチラシなどにかかる費用です。

前年、予算より低く抑えられていますね。

 

貸借料

前年1,200,000
予算1,210,000
当月1,200,000
前年比100%
予算比99.2%

 

家賃などですね。

あまり変動することはありませんが、世の中の経済事情、大家さんの事情により変わることがあります。

 

償却費計

前年500,000
予算530,000
当月540,000
前年比108%
予算比102%

 

償却費とは店舗で使うパソコンやレジなどの機材に使うお金です。

これらを購入した時、その購入代金を購入した年に一度に経費とするのではなく、分割して少しずつ計上します。

新しく機材を導入すると増えていくことはわかりますね。

前年、予算より増えてしまってますね。

 

水道光熱費

前年750,000
予算740,000
当月700,000
前年比93.3%
予算比94.6%

 

自宅でも払ってますね。

同じです。

前年、予算より抑えられているのでいい数値ですね。

 

消耗品費

前年250,000
予算200,000
当月150,000
前年比60%
予算比75%

 

店舗で使う事務用品などですね。

例えばペンとかコピー用紙など。

前年、予算を下回っているのでいい数値ですね。

 

租税公課

前年16,000
予算17,000
当月15,000
前年比93.8%
予算比88.2%

 

租税公課とは、国や地方に納める税金(租税)と、公共団体へ納める会費や罰金など(公課)を合わせた数字です。

これは店舗ではどうしようもできませんね。

 

修繕費

前年0
予算20,000
当月100,000
前年比
予算比500%

 

店舗を修理する時に支出するお金のことです。

去年は0なのに、今月はどこか修理代がかかってしまったことが予想できます。

 

在庫

在庫金額 80,000,000
在庫日数50.0

 

在庫金額が8千万円あることを表します。

在庫日数は50日あれば現在ある8千万円をすべて売ることができるということを表しています。

 

廃棄

廃棄金額80,000
廃棄率0.10%

 

廃棄金額は1ヶ月でどれだけ廃棄を出してしまったかを表します。

期限切れや破損なども廃棄に含まれます。

廃棄率は廃棄金額÷在庫金額で表されます。

 

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まとめ

ドラッグストアのP/Lはいかがでしたでしょうか。

あくまでも一例で、Mr.Tがかなりいじってますので見慣れないなと思う人もいるでしょう。

 

しかし、ポイントは突いているので大体のことはわかるようになると思います。

数字がわからないと店舗の経営はできません。

 

「この数字を改善するにはどうすればいいのか?」

 

数字を理解していないと改善策が浮かびません。

 

薬剤師であれば正直これらのP/Lは見なくても管理薬剤師はできます。

Mr.Tも管理薬剤師になりたての時はP/Lは見てませんでした。

 

薬剤師は数字の勉強をしてこないので、P/Lの見方を知らない人が多いです。

しかし、数字を知らないと薬局を効率よく回せないだけでなく、上司とも戦えません。

特に人件費などは問題になりやすいです。

 

「これだけの数字を残しているから人を雇えるだろう」

「ここの数字をもう少し改善できればもっとよくなるだろう」

 

と戦略を立てることができます。

数字で会話できなければ上司の言いなりです。

数字で会話できるようになれば一目置かれますし、周りから見てかっこいいですよ。

 

あなたも数字を理解し、かっこいい薬剤師になりましょう。

 

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