医薬品

ホクナリンテープのジェネリックは別物? ホクナリンテープとツロブテロールテープの違いについて

2021/8/03(火)

 

Mr.T

こんにちは。Mr.Tです。
今回はホクナリンテープとツロブテロールテープの違いについてです。

 

ホクナリンテープとツロブテロールテープの違い。

 

「ジェネリック(以下GE)は値段が安く、先発品と同じで、効き目も一緒です」

 

このような説明をする人、された人は多いのではないでしょうか?

GEは確かに値段が安いですが、先発品とまったく一緒ではありません。

主成分は一緒ですが、添加物や製造方法が違ってくるため、先発品とまったく一緒ではないのです。

 

先発品とまったく一緒のGEはオーソライズド・ジェネリック(AG)と呼ばれます。

 

オーソライズド・ジェネリックについての記事はこちらから

関連記事
【2021年度版】 オーソライズド・ジェネリック(AG)一覧
オーソライズド・ジェネリック(AG)一覧

 

「先発品のホクナリンテープからGEのツロブテロールテープに変更したら喘息が悪化した」

 

よくある事例です。

Mr.Tも相談を受けたことがあります。

先発品とGEが全く同じであればこのような事例は起きないはず。

 

今回はホクナリンテープとツロブテロールテープの違いについて説明します。

 

薬物動態

インタビューフォームから薬物動態を見てみましょう。

先発品のホクナリンテープとMr.Tの薬局で採用している「サワイ」を比較してみます。

 

ホクナリンテープ0.5mg

 

ツロブテロールテープ「サワイ」0.5mg

 

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
T1/2
(hr)
ホクナリンテープ
0.5mg
1.35±0.0811.8±2.027.79±1.585.9±0.6
ツロブテロールテープ
0.5mg「サワイ」
0.48±0.2211.4±4.110.75±7.6511.1±4.4
標準製剤
0.5mg
0.42±0.2010.6±4.210.67±7.2615.4±5.0

*表が切れてたら横にスクロールしてください。

 

ホクナリンテープとGEのグラフを直接比較することはできませんね。

数値が違いすぎますし、同一条件で比較してないのでわかりません。

 

ツロブテロールテープと標準製剤で比較してみましょう。

 

明らかに立ち上がりはGEの方が早いです。

持続効果はホクナリンテープの方が長いですね。

表の数字はそこまで大きく変わりませんが、グラフから効果が出始める時間と維持する時間が違うことがわかります。

 

なぜ同じ成分なのに違いが出る?

主成分は同じなのになぜ違いが出るのでしょうか?

それは使用している基剤が違うからです。

 

喘息予防・管理ガイドラインでもアトピー性皮膚炎の患者に対して注意喚起がされており、

 

「貼付薬は後発品が使用可能であるが、薬物貯留システムの違いから皮膚の状況によっては先発品とは経皮吸収速度が異なるため、注意が必要である」

引用:喘息予防・管理ガイドライン2015

 

とされています。

ツロブテロールテープの皮膚への透過性を調べた文献1)では、正常な皮膚にテープを貼ってもホクナリンテープ、GEのどちらも差はありませんが、角質層を剥がすとGEでは皮膚浸透性が一気に亢進することが報告されています。

ホクナリンテープはテープから薬物の放出が制御されているのに対し、GEでは使用している基剤が違うため制御されていません。

角質層にダメージがあると、GEでは皮膚への薬剤透過性を制御できなくなってしまうのです。

 

結晶レジボアシステム

ホクナリンテープは「結晶レジボアシステム」という独自の技術が使われています。

この技術をGEは使用できないため、薬物の放出速度が違ってくるのです。

普通の貼付薬では、テープの中にすぐに皮膚に吸収される「分子」のみ含有されています。

しかし、結晶レジボアシステムでは、テープの中に「分子」とすぐに皮膚に吸収されない「結晶」が混合しています。

分子が皮膚に吸収されてテープの中に分子が少なくなると結晶が溶けだして分子になります。

少なくなってきたら補充するというイメージですね。

文章だけではとてもわかりにくいのでリンクを載せておきます。

イラストで見ると非常にわかりやすいです。

ホクナリンテープのご紹介 作用の仕組み

 

まとめ 

ココがポイント

  • 立ち上がりはGEの方が早い
  • 持続効果はホクナリンテープの方が長い
  • 正常な皮膚では両者に差は無い
  • 皮膚にダメージがある時はホクナリンテープの方がいいかも
  • ホクナリンテープは「結晶レジボアシステム」という独自のシステムを採用

 

数字的にはそこまで大きな差は無く、AUCがほぼ同じなので「同一」と上は判断しているのでしょう。

しかし、厳密に見てみると同一とは言えません。

使っている基剤が違うのに同一と言えるのか…

まぁ、効果に差がなければ特に問題ないという見解だと思いますが。

 

しかし、実際にホクナリンテープからGEに変更した際に症状が悪化した事例や、皮膚にダメージがある時に吸収速度が変わるという結果は出ています。

 

どちらも4時間あたりから効き始めるので、喘息等ではなく風邪などで使う場合にはどちらでも構わないと思いますが、小児や高齢者、皮膚疾患があり、肌にダメージがある人はホクナリンテープの方がいいのではないかと個人的に思います。

 

これらのことをきちんと理解している医師ならGE変更×を処方箋にしっかりと記載すると思いますが。

 

今回説明した内容をしっかりと頭に入れ、「先発しかダメ」とか「何でもかんでもGE」という偏った考えを持っている人は少し考えを改めた方がいいのでは?と思います。

 

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Mr.T

以下の記事もご覧ください。

 

参考文献:

  1. Biol Pharm Bull.2010;33:1763-5

  2. 各種インタビューフォーム

  3. ホクナリンテープのご紹介 作用の仕組み

  4. 極める! 小児の服薬指導

4.5

 

対象者

  • 薬剤師・薬学生
  • 小児の薬を勉強したい人
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小児の薬や服薬指導は正直難しいです。

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ココがポイント

  • 小児の薬や指導に関して普段疑問に思うことの解決方法が満載
  • イラストや図・写真などが満載でわかりやすい解説
  • 指導箋がとても役に立つ

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