医薬品

【吐き気止め・違い】 『ナウゼリン』と『プリンペラン』の違いについて徹底解説

2021/10/12(火)

ナウゼリン・プリンペランの違い

 
こんにちは。Mr.Tです。
今回は『ナウゼリン』と『プリンペラン』の違いについてです。
 

『ナウゼリン』と『プリンペラン』の違い。  

ナウゼリン:一般名はドンペリドン。
プリンペラン:一般名はメトクロプラミド。  

どちらも制吐薬、吐き気止めです。  

どちらも「ドパミン受容体拮抗薬」に分類され、作用機序は同じです。  

作用機序が同じ薬ですが、当然両者の間に違いはあります。  

これら2つの薬は何が違うのでしょうか?
医師は意図があって使い分けをしているのでしょうか?  

今回は『ナウゼリン』と『プリンペラン』の違いについて説明していきます。

 

基本的な情報

薬効分類名

ナウゼリン:消化管運動改善剤  
プリンペラン:消化器機能異常治療剤    

一般名

ナウゼリン:ドンペリドン  
プリンペラン:メトクロプラミド        

効能又は効果

ナウゼリン  

下記疾患および薬剤投与時の消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満、上腹部不快感、腹痛、胸やけ、あい気)  

成人: 慢性胃炎、胃下垂症、胃切除後症候群
          抗悪性腫瘍剤またはレボドパ製剤投与時  

小児: 周期性嘔吐症、上気道感染症
    抗悪性腫瘍剤投与時    


プリンペラン

次の場合における消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)

胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤(制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤)投与時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後
X線検査時のバリウムの通過促進    

 

引用:ナウゼリン、プリンペラン添付文書

 

同じ吐き気止めですが、適応が少し違います。

抗がん剤、レボドパによる吐き気はナウゼリンが使われることが添付文書からわかります。

プリンペランはX線検査時のバリウムの通過促進に適応があるのですね。

用法・用量

ナウゼリン

成人: 通常、ドンペリドンとして1回10mgを1日3回食前に経口投与する。ただし、レボドパ製剤投与時にはドンペリドンとして1回5~10mgを1日3回食前に経口投与する。
なお、年令、症状により適宜増減する。  

小児: 通常、ドンペリドンとして1日1.0~2.0mg/kgを1日3回食前に分けて経口投与する。
なお、年令、体重、症状により適宜増減する。
ただし、1日投与量はドンペリドンとして30mgを超えないこと。
また、6才以上の場合はドンペリドンとして1日最高用量は1.0mg/kgを限度とすること。      

プリンペラン

メトクロプラミドとして、通常成人1日7.67〜23.04mg(塩酸メトクロプラミドとして10〜30mg、2〜6錠)を2〜3回に分割し、食前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。 

 

引用:ナウゼリン、プリンペラン添付文書

 

プリンペランには小児等への投与に注意事項があります。

「錐体外路症状が発現しやすいため、過量投与にならないよう注意すること。とくに脱水状態、発熱時等には注意すること。」

小児にはナウゼリンの方が安全性が高いことがわかります。

作用機序

ナウゼリンとプリンペランはどちらもD2受容体拮抗作用があります。  

上部消化管並びにCTZ(化学受容器引き金帯)に作用し、抗ドパミン作用により薬効を発現します。    

ドパミンがD2受容体に結合することでアセチルコリンの遊離が抑制されます。

D2受容体をブロックすることでアセチルコリンの遊離を促進させ、結果的に消化管の運動機能や異常を改善します。

また、延髄にあるCTZにも作用し、制吐作用も有します。

 

錐体外路症状の有無

錐体外路症状とは、認知症や脳出血などの脳の異常や薬の副作用などで筋肉が固くなる、手足が震えるなどの体の様々な場所に障害が出てしまう症状です。    

ナウゼリンとプリンペランは作用機序が同じですが、錐体外路症状の有無が決定的な違いです。

脳に到達してしまうかどうかで錐体外路症状の有無が決まります。

結論として、錐体外路症状をナウゼリンは起こしにくくプリンペランは起こしやすい薬となっています。

~錐体外路症状の有無~  

ナウゼリン:起こしにくい
プリンペラン:起こしやすい  

 

錐体外路症状と血液脳関門

血液脳関門とは、老廃物や毒物などの危険なものが脳に侵入することを防ぐためのフィルターです。

ナウゼリンはこの血液脳関門を通りにくいのでほとんど脳に薬が届きませんが、プリンペランは血液脳関門を通り抜け、脳に届いてしまいます。

プリンペランの方が血液脳関門を通り抜けやすいため、錐体外路症状を起こすリスクが高まってしまうのです。

プリンペランは錐体外路症状のリスクが高いですが脳まで届くため、脳が原因の吐き気(中枢性)にも効果があり、適応が広いというメリットもあります。

 

妊娠・授乳中

妊婦や授乳婦への安全性の評価にもナウゼリンとプリンペランの間で差があります。

妊娠中はプリンペラン。
授乳中はナウゼリン
を使用するのが一般的です。

 

OTC(市販薬)で売っている?

両者ともOTCでは販売されていません。

同じ作用を持つ薬もなく、OTCでは「吐き気止め」というカテゴリーは存在しません。

上記で説明した通り脳に影響する可能性が両者にあり、使い方に注意が必要な薬なのでOTCでは販売されていません。    

吐き気には中枢性と末梢性の吐き気がありますが、OTCで対応できる吐き気は限られています。 

中枢性の吐き気の例

  • 精神的な原因によるもの
  • 薬の副作用やホルモンバランスが原因のもの
  • メニエール病や乗り物酔いなどの三半規管が原因のもの  

末梢性の吐き気の例

  • 食べすぎや胃炎などの胃腸によるトラブル
  • 舌や喉を刺激したときにおこる物理的な刺激によるもの    

 

上記で示した中でOTCで対応できる吐き気止めは乗り物酔い胃腸によるトラブルのみです。

精神的、薬の副作用やホルモンバランスによる吐き気はOTCでは対処できません。

メニエール病も受診勧奨であり、物理的な刺激による吐き気は原因がはっきりとはわかりません。

OTCでは対処の仕様が無いのす。  

乗り物酔いには酔い止めの専用の薬があり、胃腸によるトラブルには消化薬、胃酸の逆流を防ぐなどの対処できる薬があります。

 

まとめ


  • 作用機序は同じでD2受容体拮抗作用
  • プリンペランの方が錐体外路症状のリスクが高いが、適応が広い 
  • 妊娠中はプリンペラン、授乳中はナウゼリン
  • OTCでは「吐き気止め」というカテゴリーは存在しない

 

作用機序が違えばなんとなく違いはわかりますが、ナウゼリンとプリンペランは作用機序が同じで添付文書をサッと見ただけでは違いがわかりません。  

吐き気は様々な原因があり、精神的なものによる吐き気はなかなか厄介です。

薬が効かなかったので変更するというのはよくあることです。

ナウゼリンからプリンペランに変更、逆も然りです。

患者さんに変更の理由を聞かれてもなかなか答えることが難しいのではないでしょうか?

安全性の問題もありますが、すべて正確に伝えてしまうと患者さんを不安にさせる可能性があるので、不安にさせないようにうまく説明できるようにしたいですね。

 

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参考文献:

  1. ナウゼリン 添付文書
  2. プリンペラン 添付文書
  3. 続々 違いがわかる!同種・同効薬

4.5

この本の対象者

・薬剤師などの医療従事者
・服薬指導をレベルアップさせたい人
・同種・同効薬使い分けを知りたい人

同種・同効薬の違いをわかりやすく実践的に解説した本です。

作用機序が全く違う薬であれば薬を変更した理由は何となくわかると思いますが、作用機序が同じ薬に変更されたときにその理由がすぐに浮かんでくるでしょうか?

そんな時にとても役立つ一冊です。

もちろん、作用機序が違う薬に関しても使い分けが説明されているので、服薬指導にとても役立ちます。

 

POINT

・同種同効薬の違いを詳しく説明
・一覧表も満載で違いが一目で違いがわかる
・薬剤変更時の服薬指導に大活躍

 

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