医薬品

坐剤の方が早く効く? アンヒバ坐剤小児用とカロナール錠/細粒の違いを徹底解説

2021/8/02(月)

 
こんにちは。Mr.Tです。
今回は
アンヒバ坐剤とカロナール錠/細粒の比較です。

坐剤。  

子どもの処方でよくアンヒバ坐剤が出されます。

坐剤は錠剤や細粒などの経口投与より早く効くと思っている人は多いのではないでしょうか。

確かに坐剤はお尻から入れることによって直腸から直接吸収され、肝臓を経由しないで全身に分布する為早く効きます。

しかし、すべての薬が坐剤の方が早く効くとは限りません。

その一つにアセトアミノフェン製剤があります。

今回はアセトアミノフェン製剤である「アンヒバ坐剤」と「カロナール錠/細粒」を比べてみました。

 

血漿中未変化体濃度

インタビューフォームから両者の血漿中未変化体濃度を見てみます。

 

アンヒバ坐剤
(アセトアミノフェンとして 400mg)

 

 

カロナール錠200 2錠
カロナール20% 2g

 

 

インタビューフォームより両者を比較すると、アンヒバ坐剤は投与後2時間でピークに達し、カロナール錠/細粒では投与後30分でピークに達しています。

この結果だけ見るとカロナール錠/細粒の方が早く効きそうですね。

 

薬物動態

同じく、インタビューフォームから薬物動態を見てみます。

 

 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(時間)
AUC0~∞
(μg・時間/mL)
t1/2
(時間)
アンヒバ坐剤小児用
(アセトアミノフェンとして 400mg)
4.18±0.311.60±0.1620.36±1.752.72±0.26
カロナール錠 200
(錠剤 200mg,2錠)
9.1±2.90.46±0.19 19.03±2.452.36±0.28
カロナール細粒
(細粒 20%,2g) 
9.1±3.20.43±0.2319.20±2.042.45±0.21

*表が切れてたら横にスクロールしてください。

 

インタビューフォームより両者を比較すると、アンヒバ坐剤のTmaxは投与後1.60±0.16時間でピークに達し、カロナール錠/細粒では投与後0.45時間前後でピークに達しています。

この結果でもカロナール錠/細粒の方が早く効きそうですね。

 

試験結果・使用経験

血漿中未変化体濃度と薬物動態は共にカロナール錠/細粒の方が早く効くというデータが出ていますが、解熱効果の試験結果・使用経験がどうなのかを見てみます。

アンヒバ坐剤小児用

38.0℃以上の発熱患児に本剤の 100mg あるいは 200mg 坐剤を投与し体温変化を検討した結果,体温は投与後 30 分以内に下降し始め,1~2 時間後にピークに達し 4 時間後まで効果が持続した.
注)本剤の承認された用量は 1 回 10~15mg/kg である.

引用:アンヒバ坐剤小児用インタビューフォーム

 

カロナール錠/細粒

 

(10) 小児に対するアセトアミノフェン細粒の解熱効果
発熱性疾患計 41 例に対し、アセトアミノフェンとして1回量 15mg/kg を頓用し 97.6%の著効・有効率を認めた。投与後3~4時間で効果が最大となり、約2℃の体温下降を認めた。41 例中5例(12.1%)に体温下降例(36℃未満の体温は、平均 35.5℃で、最低 35.2℃)が見られたが、問題になるものはなく、発疹等の副作用もなかった。

(11) 小児の発熱に対するカロナール細粒の使用経験
小児の発熱 49 例に対し、延べ 77 回投与した。アセトアミノフェンとしての投与量をA群(7.9mg/kg以下)、B群(8.0~10mg/kg)、C群(10.1mg/kg 以上)の3群に分けて検討した。解熱効果はA群 51.6%、B群 77.8%、C群 89.5%の有効率を認めた。C群で3例に 36℃以下の体温下降例が見られたが、特に異状な訴えはなかった。
これらの結果から、8~12mg/kg が適正な用量であることが示唆された。

引用:カロナール細粒インタビューフォーム

 


  • アンヒバ坐剤小児用:体温は投与後 30 分以内に下降し始め、1~2 時間後にピークに達し4 時間後まで効果が持続した
  • カロナール錠/細粒:投与後3~4時間で効果が最大となり、約2℃の体温下降を認めた

 

このデータを見ると坐剤の方が効果発現のピークは早そうです。

しかし、解熱作用の発現時間はそこまで大きな差はなさそうです。

 

結局、どちらが早く効く?

未変化体濃度、薬物動態ではカロナール錠/細粒の方が優位。
試験結果・使用経験ではアンヒバ坐剤小児用の方が優位。

結局、どちらの方が早く効くのでしょうか?

Mr.Tの結論としては

「どちらともそこまで大きな差は無い」

です。

アンヒバ坐剤小児用よりカロナール錠剤/細粒の方が立ち上がりが早いですが、効果に関してはそこまで差は無いというのがMr.Tの結論です。

 

まとめ

絶対的な答えはこっち!

と言えないのが心苦しいですが、様々な資料を見てみたところ、人によって解釈が違います。

血漿中未変化体濃度や薬物動態を見てカロナール錠剤/細粒の方が早く効くという人もいれば、試験結果・使用経験からアンヒバ坐剤小児用の方が早く効くという結論を出す人もいます。

世間一般的には坐剤の方が錠剤/細粒より早く効くと考えられています。

確かにその通りなのですが、アンヒバ坐剤はハードファット(油脂制基剤)を添加しているため、直腸に挿入してからハードファットが溶解するまでに時間がかかってしまいます。

このことが効果発現に時間がかかる理由の1つだと思われます。

結局、この場では「どちらもそこまで大きく変わらない」という結論を出しましたが、患者さんから

「どちらの方が早く効くのか?」

と質問されるのは確実です。

Mr.Tは

「どちらもそこまで大きな差は無いので、使いやすい方でいいですよ」

と答えています。

その時の状況によって使う薬は違ってくるので。

吐き気があって経口投与ができないのであれば坐剤を選択し、他に経口薬が出ているのであればカロナールシロップや細粒と一緒に飲ませてあげれば手間が省けます。

子どもは薬がキライです。

できるだけ負担を減らしてあげるように剤形を選択したいですね。

 

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参考文献:

  1. アンヒバ坐剤小児用インタビューフォーム

  2. カロナール錠/細粒20%インタビューフォーム

  3. 小児の薬の選び方・使い方: 小児科専門医の手の内を公開!

4

この本の対象者

・医師・薬剤師
・研修医、看護師などの医療従事者
・小児の薬を勉強したい人

小児の日常診療で頻繁に遭遇する26症状・49疾患について、薬を選び、使うまでのステップを解説しています。

各疾患ごとにどの薬をどのように使えばよいか、使うべきでないかをわかりやすく解説しています。

各章にある「ホームケアのアドバイス」や「小児科医の一言」もとてもためなる情報が満載です。

 

POINT

・各疾患に対する薬の選択や使い方をわかりやすく説明
・図やイラストが豊富で、カラーで見やすい
・実際の薬や投与量が記載されているので実践向き

 

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