
こんにちは。Mr.Tです。
今回は薬局の領収書についてです。
薬局の領収書。
調剤をして薬を患者さんに渡す際に、領収書も必ずお渡ししなければなりません。
難しいことではなく当たり前の話ですが、受付回数と処方箋枚数の関係を絡ませてくると非常に難しい話になります。
基本は受付回数が1回だと領収書は1枚、受付回数が2回だと領収書は2枚になります。
しかし、ある特殊な事情で同一の病院の異なる診療科から処方箋を2枚持参し、受付回数が1回なのにも関わらず、領収書を2枚に分割して欲しいという要望があったらどうすればいいのでしょうか?
今回は以上の事例でどのように対処したかをMr.Tの経験談から説明します。
なお、今回説明した方法がベストなやり方だとは限りませんのでご了承を。
受付回数と処方箋枚数の関係をしっかりと理解していないと今回の話はチンプンカンプンなので、理解していない人は以下の記事をどうぞ。
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【処方箋・受付回数】 まとめて持って行った方が安くなる? 処方箋の受付回数について徹底解説
Contents
受付回数と処方箋枚数の関係
詳しい話は上記のリンクの記事を読んで欲しいのですが、基本的には受付回数と処方箋枚数の関係は以下の通りになります。
処方箋を3枚以上持ってくることもありますが、ここではすべて2枚持ってきたとします。
パターン | 受付回数 |
①同一医療機関・異なる診療科・2枚 | 1回 |
②異なる医療機関・2枚 | 2回 |
③同一医療機関・同一診療科・処方日が異なる・2枚 | 1回 |
④同一医療機関・同一診療科・処方日が同一・2枚 | 1回 or 2回 |
処方箋をまとめて薬局に持って行った方が安くなります。
受付回数が1回だと領収書は1枚、受付回数が2回だと領収書は2枚発行されることになります。
領収書の枚数は処方箋の枚数ではなく、受付回数で決まるのです。
特殊な事情とは
さて、ここからが本題です。
患者さんの背景
メモ
- 同一の病院で内科と皮膚科の処方箋を持参
- 一連の診療行為に該当する
- 領収書を内科の分と皮膚科の分の2枚に分けて欲しい
- 皮膚科の分の処方箋は製薬会社に提出する
詳しいことまでは書けませんが、どうやら製薬会社とトラブルがあり、皮膚科の分の領収書を製薬会社に提出して製薬会社がその分の支払いをするようです。
患者さんの背景からレセコンで入力すると、受付回数1回の処方箋2枚に該当するので領収書は1枚しか出てきません。
内科と皮膚科の処方箋が一つにまとめられ、分割することができないのです。
一連の診療行為にもあたるため、受付回数を2回にすることもできません。
さて、どうすればいいのでしょうか?
対処方法
様々な所に電話して聞きましたが、はっきりとした回答は得られませんでした。
レセコン会社、患者さんと相談し、以下のような方法を取ることにしました。
ポイント
①受付回数2回、処方箋2枚の形で入力する
②領収書を2枚お渡しする
③入力したデータを削除する
④受付回数1回、処方箋2枚の形に入力し直す
⑤差額は次回返金する
①受付回数2回、処方箋2枚の形で入力する
受付回数を2回にしないと領収書が2枚出てきません。
領収書を分割するにはこの方法しかありません。
最後に受付回数1回、処方箋2枚の形に入力し直すことになるのですが、どうしても差額が出てしまいます。
その差額を最小限にするために、片方の処方箋の入力時に薬学管理料や各種加算などを算定しないようにします。
どちらも算定してしまうと二重取りになってしまうので。
もっと詳しく
②領収書を2枚お渡しする
受付回数2回、処方箋2枚の形で入力したので領収書が2枚出てきます。
患者さんの希望通り、領収書を2枚お渡しします。
③入力したデータを削除する
投薬・お会計など、すべてが終わったら一度入力したデータを削除します。
入力し直すための準備です。
データを削除する前に薬歴を書いてしまうと薬歴も削除されて書き直しになるので、レセコンを入力し直してから薬歴を書くようにしましょう。
④受付回数1回、処方箋2枚の形に入力し直す
通常通りの入力をします。
本来の形に戻してレセプトを送らないと確実に返戻になります。
⑤差額は次回返金する
どうしても受付回数が違うと差額が出てしまいます。
一度入力して、削除して、また入力するとなると時間がかかるし、急いでやるとミスの元なので患者さんには一度帰宅してもらい、次回来た時に差額分を返金することにしました。
入力の都合上どうしても
受付回数1回(処方箋2枚) = 受付回数1回(処方箋1枚) + 受付回数1回(処方箋1枚)
とはなりません。
調剤報酬は計算が複雑なので、ぴったり上の式には当てはまらないのです。
処方日が同じでも2日に分けて入力すれば問題ない
処方日が同一で同一の病院、異なる診療科の2枚の処方箋であれば、1枚目は今日、2枚目は明日持って来れば上記で説明したような面倒くさいことはしなくても済みます。
2日に分けて調剤する形になりますね。
しかし、同じ処方日なので2回も患者さんが薬局に来るのはちょっと…となりますよね。
値段も高くなってしまいますし。
コメントを入れれば大丈夫?
患者さんに特殊な事情があるので、コメントを入れて受付回数を2回にしても問題ないとも思ったのですが、
「一連の診療行為に当たるので受付回数を1回にするように」
と言われました。
受付回数を2回にすると支払基金にとっては支払う金額が増えるのでしょうがないのか…
まとめ
ココがポイント
①受付回数2回、処方箋2枚の形で入力する
②領収書を2枚お渡しする
③入力したデータを削除する
④受付回数1回、処方箋2枚の形に入力し直す
⑤差額は次回返金する
今回は稀なケースです。
Mr.Tはこの患者さんのケースしか経験したことがありません。
何でも教科書通り、教えられた通りにいかないのが調剤です。
調剤以外もそうですよね。
お金やレセプトが絡んでくるので、薬局の判断だけでは解決できません。
今回は患者さんの了承を得てこのような形を取りました。


調剤事務も大変…
事務経験のない薬剤師はこんな苦労は知らないんだろうな…
一人薬剤師だったら確実にテンパる案件ですね。
イレギュラーなことが起きても解決方法を何通りか持っていれば怖くないです。
レセコン関係だったらレセコン会社に相談した方が早いです。
担当者によってはアタリ・ハズレがありますが…
様々な経験をし、どんなことにも対応できるようになりたいものです。
もっと詳しく
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