医薬品

クラバモックスとオーグメンチンはなぜ成分が同じなのに用法が違う?

2021/8/24(火)

 

こんにちは。Mr.Tです。
今回はクラバモックスとオーグメンチンの違いについてです。

 

クラバモックスとオーグメンチン。  

これら2つの薬には同じ成分が含まれています。  

どちらも主成分はアモキシシリンというペニシリン系の抗生物質で、クラブラン酸という成分がプラスされています。  

成分が同じなのになぜ2種類も存在しているのでしょうか?

また、クラバモックスは食直前なのに対してオーグメンチンは6〜8時間毎となっています。

今回はクラバモックスとオーグメンチンの違いについて説明します。

 

クラブラン酸とは

主成分はアモキシシリンですが、なぜクラブラン酸をプラスしているのでしょうか?  

クラブラン酸はβラクタマーゼ阻害剤です。  

抗菌薬の分解、無力化を防ぎます。  

クラバモックスとオーグメンチンはアモキシシリンにクラブラン酸を配合することで、アモキシシリンだけでは十分に効かない耐性菌にも効果が得られるようになっています。  

アモキシシリンなどのペニシリン系の抗菌薬は、細菌が作るβラクタマーゼという酵素によって分解されてしまいます。  

分解されるのをクラブラン酸が防いでくれます。  

 

成分・含量

 クラバモックス
小児用配合DS
オーグメンチン配合錠
(1.01g中)125SS250RS
アモキシシリン600mg125mg250mg
クラブラン酸42.9mg62.5mg125mg

 

アモキシシリンとクラブラン酸の配合比率が2:1の時に最も効果を発揮します。

オーグメンチンは125SSと250RSの配合比率がどちらも2:1です。

クラバモックスは配合比率が14:1となっており、アモキシシリンの方が圧倒的に多いですね。

 

剤形  

クラバモックス:ドライシロップ(0.505g、1.01g)

オーグメンチン:錠剤(125SS、250RS)  

 

クラバモックスは小児用なので子供に、オーグメンチンは大人に使います。  

 

用法  

クラバモックス

通常、小児には、クラバモックスとして1日量96.4mg(力価)/kg(クラブラン酸カリウムとして6.4mg(力価)/kg、アモキシシリン水和物として90mg(力価)/kg)を2回に分けて12時間ごとに食直前に経口投与する。

引用:クラバモックス小児用配合ドライシロップ (pmda.go.jp)

 

オーグメンチン

オーグメンチン配合錠125SS 通常成人は、1回2錠、1日3〜4回を6〜8時間毎に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

オーグメンチン配合錠250RS 通常成人は、1回1錠、1日3〜4回を6〜8時間毎に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。    

引用:オーグメンチン配合錠125SS/ オーグメンチン配合錠250RS (pmda.go.jp)

 

同じ成分なのに用法が違います。

クラバモックスは食直前なのに対してオーグメンチンは6〜8時間毎です。

オーグメンチンも食直前でなくていいのでしょうか?  

 

食事の影響

クラバモックス

1)食事の影響  

外国人健康成人 12 名(男女各 6 名:平均年齢 30 歳)を対象に、CVA/AMPC=125/875mg(1:7 製剤)を空腹時あるいは高脂肪食開始直前、開始後 30 分、150 分にクロスオーバー法により投与し、AMPC と CVAの薬物動態に及ぼす食事の影響を検討した結果、AMPC の薬物動態に及ぼす食事の影響はごくわずかであった。一方、CVA の相対的なバイオアベイラビリティは、空腹時投与と比較して、高脂肪食摂取開始30 分、150 分に投与すると顕著に減少したが、高脂肪食摂取開始時(食直前)に投与すると、被験者間変動も小さく、良好な吸収を示した。

引用:クラバモックス小児用配合ドライシロップ インタビューフォーム

 

アモキシシリンは特に食事の影響はないみたいですが、クラブラン酸は「顕著に減少」と記載があります。

食事の影響を受けてしまうため、クラブラン酸は「食直前」となっています。    

 

オーグメンチン

(5)食事・併用薬の影響

1)食事の影響

健常成人の空腹時及び食後にオーグメンチン配合錠 250RS 1 錠と 2 錠を cross over 法により投与したときの血清中濃度、尿中排泄を測定した。食後 1 回投与後の血清中濃度のピークは、同量空腹時投与と比較して AMPC では投与量の増加によるピーク時間のずれが若干みられるが、ピーク濃度において差はみられなかった。一方、CVA ではピーク濃度が低く、食事の影響がみられた。これを AUC でみると、空腹時投与に比べて食後投与の値は、AMPC が 99~120%、CVA は 55~74%であった。尿中排泄においても同量空腹 時投与と比較して AMPC は食事の影響は受けなかったが、CVA は食事の影響が若干みられた。これを 0~8 時間までの尿中排泄率でみると、空腹時投与に比べて食後投与の値は、AMPC が 99~106%、CVA は 56~74%であった。    

オーグメンチン配合錠125SS/オーグメンチン配合錠250RS 添付文書、インタビューフォーム

 

オーグメンチンもアモキシシリンは特に食事の影響はないみたいですが、クラブラン酸は血清中濃度、尿中排泄共に減少しています。  

この結果を見ると、「食事の影響を受けるのでクラバモックスと同じく食直前の方がいいのでは?」と思うのですが、クラバモックスとオーグメンチンとではアモキシシリンとクラブラン酸の配合比率が全然違います。

オーグメンチンの配合比率は上記で示した通り、アモキシシリンとクラブラン酸が2:1です。

確かに食事による影響はあるのですが、オーグメンチンはクラバモックスに比べてクラブラン酸の比率が圧倒的に高いので、多少血清中濃度や尿中排泄が低下しても治療効果は問題ないという判断で食直前でなくてもいいのです。  

また、インタビューフォームの「用法・用量」欄には

「本剤は食事と関係なく服用できるが、食事開始時に服用すると、体内でのクラブラン酸カリウムの吸収が高まる。消化器系の有害事象発現を最小限に抑えるために、本剤は食事開始時に服用すること。」

と記載があります。

「食事と関係なく服用できる」と記載がありますが、食直前がベストのようですね。

 

まとめ


  • 成分の配合比率が違う
  • クラバモックスは食直前、オーグメンチンは6〜8時間毎
  • クラブラン酸は食事の影響を受けるが、オーグメンチンにはクラブラン酸がたくさん入っているので治療効果には影響がない
  • 治療効果、副作用の発現を考えると食直前がベスト

 

同じ成分が入っているのに用法が違うとは何とも不思議ですが、きちんと理由があるのですね。

クラブラン酸はアモキシシリンの補助として入っているのですが、吸湿性があったり、食事の影響を受けたりでなんだか面倒くさい成分です…

もう少し製剤を改良して使いやすくしてくれないかなといつも思います。

 

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参考文献:

  1. クラバモックス小児用配合ドライシロップ 添付文書、インタビューフォーム

  2. オーグメンチン配合錠125SS/オーグメンチン配合錠250RS 添付文書、インタビューフォーム

 

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