
こんにちは。Mr.Tです。
今回はリバスタッチ・イクセロンパッチについてです。
リバスタッチ・イクセロンパッチ。
Mr.Tがいる薬局ではリバスタッチパッチがよく出ます。
門前ではなく、面でやっているのになぜか4.5mgだけが大量に出るのです。
比較的近くの総合病院の先生がリバスタッチパッチを好きなだけかもしれませんが。
さて、リバスタッチパッチには規格が4種類あります。
- 4.5mg
- 9mg
- 13.5mg
- 18mg
症状によって規格が違ってくるので、増量・減量したときにどうしても残薬が生じてしまうことがあります。
例えば4.5mgから9mgに変更になったときに4.5mgを2枚使えば9mgになるので、もし余っていたら4.5mgを2枚使おうと思うのは当然のこと。
逆に9mgから4.5mgであれば9mgを半分に切ってしまおうと思うのも当然のことです。
リバスタッチパッチはこのような使い方をしていいのでしょうか?
今回はリバスタッチパッチ/イクセロンパッチについて説明します。
なお、これら2つは成分が同じなので以下、リバスタッチパッチとして説明していきます。
Contents
リバスタッチパッチの基礎的事項
薬効分類名:アルツハイマー型認知症治療剤
一般的名称:リバスチグミン
4.効能又は効果
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制6.用法及び用量
通常、成人にはリバスチグミンとして1日1回4.5mgから開始し、原則として4週毎に4.5mgずつ増量し、維持量として1日1回18mgを貼付する。また、患者の状態に応じて、1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量することもできる。 本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
アルツハイマー型認知症に使われる薬で、少しずつ量を増やしていく薬です。
ということは、薬局では4つの規格を用意しなければなりません。
面でやっている薬局にとっては在庫泣かせな薬ですね。
切ったり、一度に2枚使っていい?
メーカーの観点から
正式にメーカーから「『過量投与』及び『カット』について」の適正使用のお願いが出ています。
ココに注意
- 1日1枚ずつ24時間ごとに貼り替え、先に貼付しているパッチを除去したことを確認するように
- 医療従事者、介護者のもとで使用し、シップと混同しないように
- カットして使用しないように
カットしてはいけない理由は、
「本剤をカットして使用した場合の有効性及び安全性は確認されておりません」
とのこと。
薬剤師や患者さんが気になることは試験しないんですね。
このような疑問は絶対にメーカーに届いているはずです。
利益のことを考えれば試験しないのは当然のことですが。
カットして使用したデータがないからカットして使ってはダメ。
過量投与の恐れがあるので、一度に2枚使うことはやめるようにとのことです。
安全性を考えれば当然のことですね。
テープの「型」の観点から
貼付薬は、局所作用型と経皮吸収型(全身作用型)に分けられます。
リバスタッチパッチは経皮吸収型に分類されます。
経皮吸収型
経皮吸収型には以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 薬剤の血中濃度を長時間一定にできる
- 肝初回通過効果を受けない
- 経口投与が困難な患者にも投与可能
デメリット
- 接触部位の皮膚炎が起きやすい
- 用量調整が難しい
構造
経皮吸収型の貼付薬は粘着層(マトリックス層)に薬剤を含む「マトリックス型」と薬物貯蔵層と放出制御膜で薬剤の放出速度を制御する「リザーバー型」があります。
マトリックス型
- リバスタッチパッチ/イクセロンパッチ
- ホクナリンテープ
- フランドルテープ
- デュロテップMTパッチ
- ニュープロパッチ
- ビソノテープ
マトリックス型はマトリックス層の面積と薬剤放出量が比例する為、理論上は切断して使用できる場合が多いですが、切断すると剥がれやすくなってしまいます。
また、切断すると薬剤の結晶が析出する薬剤もあるので切断して使うことはやめた方がいいでしょう。
リザーバー型
ニトロダームTTS
リザーバー型を切断すると薬物貯蔵層の切断面から薬剤が漏出し、皮膚刺激感などの局所的副作用や急速・過量投与による全身的副作用が生じる可能性があるので、切断使用は控えなければなりません。
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薬価
*R3.8月現在
- 4.5mg :296.30
- 9mg :332.70
- 13.5mg:356.40
- 18mg :374.50
薬価の観点から見ると、成分量が倍になったからと言って薬価も倍になるわけではありません。
4.5mgを2枚使うと592.60。
9mgを1枚使うよりも高くなってしまいますね。
医療費の関係から言っても1回に2枚使うと目をつけられそうです。
Mr.Tの体験談
アルツハイマー型認知症の患者さんで、代理の奥様がいつも来局。
4.5mgから開始して9mgまで到達したが、副作用で吐き気があるとのこと。
嘔吐・悪心は添付文書でも5%以上とかなり高い確率で出る副作用です。
医師に相談すると9mgから4.5mgに減量になったのですが、いつも長期で出してもらっていたため、4.5mgと9mgのリバスタッチパッチが大量に余っているという状況。
処方箋には4.5mgを1日2枚使うと指示。
患者さんの話によると、調子が悪ければ1枚でいいとのこと。
切って使うことはやめた方がいいと説明してきましたが、一度に2枚使うことの問題は特にないようです。
過量投与や貼り間違いに注意すればそこまで問題になることはないようです。
当然、疑義照会しましたが、医師はそのままでと回答
一度に2枚使っている事例はMr.Tの薬局でもいます。
-
【疑義照会】何でそんなに時間がかかるの? 疑義照会のポイントについて徹底解説
まとめ
ココがポイント
- リバスタッチパッチをカットして使用した場合の有効性及び安全性は確認されていない
- 一度に2枚の使用は貼り間違いの可能性があるので避けること
- リバスタッチパッチは経皮吸収型のマトリックス型
- 成分が2倍になるからと言って薬価も2倍にはならない
様々な観点から見てきましたが、切って使ったり、一度に2枚使うことはやめた方がいいです。
「何が起こるかわからない」
というのが本音なのですが、自分の体に何かあってからでは遅いのです。
実際に一度に2枚使っている事例もMr.Tの薬局ではありますが、管理している人がしっかりしているので医師も安心して任せているのでしょう。
しかし、メーカーから適正使用のお願いも出ている通り、基本は切ったり、一度に2枚使うようなことはせず、1回に1枚使うように指導するのがベストだと思います。
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以下の記事もご覧ください。
参考文献:
日経DIクイズ19
対象者
・薬剤師
・知識をもっと深めたい人
・様々な処方、薬の使い方を知りたい人
・自分の力を試したい人
「日経ドラッグインフォメーション(日経DI)」誌で大好評連載中の「日経DIクイズ」シリーズ、第19弾です。
普段の投薬に役立つ内容から少しマニアックな内容まで幅広くクイズ形式で学べます。
新人や初心者にはオススメはしません。
ある程度知識がついてから読むと面白いのですが、知識がないまま読んでも面白くありません。
この本で気づくこと、学ぶことは多いのですが、自分の力試しだと思って読み始めてください。
ココがポイント
- 服薬指導に役立つ知識が満載
- 初歩的な内容からマニアックな内容まで幅広い
- 「症例に学ぶ 医師が処方を決めるまで」で処方意図がわかる
- 自分の知識がどこまで通用するかがわかる