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ピロリ菌の三次除菌は自費診療? ピロリ菌の除菌療法について調べてみた

2021/8/11(水)

 
こんにちは。Mr.Tです。
今回はピロリ菌の除菌療法についてです。
 

ピロリ菌の三次除菌。  

Rp.1

タケキャブ錠20mg 2T
サワシリン錠250mg 6T
グレースビット錠50mg 4T 

分2 朝・夕食後 7日分  

 

このような処方が来たらあなたはすぐに対応できるでしょうか?

どこかで見たことがある代表的な治療方法ですが、よく見ると少し違和感があります。  

これはピロリ菌の三次除菌の一例で、保険適応ではありません。

ピロリ菌の除菌療法の保険適応は二次除菌までです。  

今回はピロリ菌の除菌療法について調べてみました。  

 

一次除菌


  • プロトンポンプ阻害薬(PPI) 
  • アモキシシリン(AMPC)
  • クラリスロマイシン(CAM)  

 

教科書通りの誰でも知っている一次除菌です。

除菌の成功率は70~80%と言われています。

一次除菌が失敗した場合は二次除菌に移ります。

 

二次除菌


  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • アモキシシリン(AMPC)
  • メトロニダゾール(フラジール)  

 

こちらも教科書通りの誰でも知っている二次除菌です。

クラリスロマイシンがメトロニダゾールに変わりました。

国家試験などで引っ掛け問題が作りやすそうな処方ですね。  

除菌の成功率は80~90%と言われています。

数字通りで計算すると、100人治療して二次除菌までで効果がない人は2~6人で、二次除菌まででほとんどの患者さんの治療が終了します。

これでも失敗した場合は三次除菌に移ります。

 

三次除菌


  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • アモキシシリン(AMPC)
  • レボフロキサシン or シタフロキサシン  

*他にもメトロニダゾールやミノサイクリン、次硝酸ビスマスなどを組み合わせて治療している報告もあります。    

 

保険適応外なので、見る機会は少ないと思います。

Mr.Tも三次除菌を見たことがあるのは数回です。

クラリスロマイシン、メトロニダゾールが他の抗生物質に変わっています。

まだ三次除菌は一次・二次除菌に比べて治療法が確立されていないので、3つ目の薬は病院によって様々です。

Mr.Tが実際に見たことがあるのはグレースビッド(シタフロキサシン)でした。

患者さんに聞いてみたところ、案の定二次除菌が失敗し、自費診療でしょうがなく…とのことでした。

 

ペニシリンアレルギー患者やその他の除菌治療


  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • メトロニダゾール(フラジール)
  • クラリスロマイシン(CAM)  

 


  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)
  • メトロニダゾール(フラジール)
  • シタフロキサシン(グレースビット)  

 

自費診療ですが、このような治療法もあります。

四次除菌として行っている病院もあります。

 

なぜPPIが必要?

ピロリ菌の除去になぜPPIが必要なのか考えたことがあるでしょうか?

菌をやっつけるだけなら抗生剤だけでいいはず。

PPIを抗生剤と一緒に処方するのにはきちんとした理由があります。  

PPIは胃酸による胃壁の障害抑制と、胃酸による抗菌薬の失活を防ぐために必要になります。

アモキシシリンやクラリスロマイシンの抗菌力は、pH7.2の中性条件に比べてpH5.5の酸性条件下で低下することがわかっています。

また、アモキシシリンやクラリスロマイシンはピロリ菌の増殖期に作用します。

ピロリ菌はpH≦5.0ではほとんど増殖しなくなるので、PPIでpHを5より大きくすることで治療効果が高まります。

 

タケキャブの方が効果が高い?

タケキャブもPPIの一種ですが、作用機序が少し違います。

タケキャブはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)に分類され、PPIの弱点を克服するために開発されたものです。

タケキャブはプロトンポンプをカリウムイオンと競合することで阻害し、従来のPPIのように酸による活性化を必要としません。

また、従来のPPIよりも立ち上がりが早く、ピロリ菌の除菌率も従来のPPIよりも成功率が高いという結果が出ています。

「じゃあ、タケキャブを使えばいいじゃん」

という発想になるのは当然のことなのですが、ジェネリックがまだ出ていないため薬価が高い…

タケプロンやネキシウムで効くのであればタケキャブでなくても問題ありません。  

 

薬価

R3.8月現在

タケキャブ10mg:125.00
タケキャブ20mg:187.50

タケプロンOD錠15:52.30
タケプロンOD錠30:90.80

ネキシウム10mg:62.70
ネキシウム20mg:108.90

ランソプラゾール(GE)15mg:19.30 
ランソプラゾール(GE)30mg:33.40  

 

 

除菌中の注意点

下痢の副作用

抗生物質は下痢の副作用が出やすいです。

ピロリ菌の除菌療法では抗生物質を2剤使うので、より下痢のリスクが高まります。

下痢の副作用が出たからと言って勝手に服用を中止してしまうとピロリ菌の除菌ができません。

それに加えて耐性菌ができる可能性もあるので、次回の除菌療法又は他の疾患で抗生物質を使うときに効果が薄れてしまう(あるいはまったくなくなる)可能性があります。

予防として整腸剤を併用するのはOKです。

あまりにもひどい、いつもと様子が違う場合はすぐに医師・薬剤師に相談しましょう。

 

抗生物質による下痢の副作用についての記事はこちらから

抗生物質の副作用で下痢がひどい… 抗生物質での副作用の対処法について徹底解説
抗生物質の副作用で下痢がひどい… 抗生物質での副作用の対処法について徹底解説

続きを見る

 

禁酒

飲酒によりPPIの効果が下がる、大量の薬の服用により肝臓に負担がかかるため、除菌中は禁酒しましょう。

除菌以外でも服用中は飲酒をしないに越したことはありません。    

 

まとめ


  • 三次除菌は自費診療で保険適応外
  • 三次除菌には様々な薬が使われる
  • タケキャブの方が薬価が高くて効果が高い 
  • 下痢の副作用が出やすいので注意

 

二次除菌まではよく見る処方内容ですが、三次除菌は保険適応外で治療法が確立していないため、様々な薬が使われています。

二次除菌までに使われる薬はしっかりと覚えておき、三次除菌かも?という薬が処方されたときにはしっかりと確認、あるいは疑義照会をしましょう。

自費診療ではなければ確実に返戻対象です。

 

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参考文献:

  1. J Antimicrob Chemother. 1994;34:1025-9.

  2. 薬価サーチ2021【薬価検索&添付文書検索】 (yakka-search.com)

  3. 文書名(タイトル)① (kitasato-u.ac.jp)

  4. 薬局で使える実践薬学

  5. 薬がみえるvol.3

4.5

この本の対象者

・薬剤師・薬学生
・医師・看護師などの医療従事者
・薬を深く知りたい人

  • 消化器系の疾患と薬
  • 呼吸器系の疾患と薬
  • 感染症と薬
  • 悪性腫瘍と薬

Vol.3なので、以上の項目が収載されています。

イラストが多めで「病気がみえる」に対応しています。

薬理学は解説が難しい書籍が多いのですが、イラストや図でわかりやすく説明されています。

薬剤師・薬学生には必須の一冊です。

 

POINT

・薬と病態を結び付けたわかりやすい教科書
・1,100点のイラスト・図表で病態生理も薬理もビジュアル化
・薬学生・薬剤師、医学生、看護師、MRなど、様々な分野の人たちに使える

 

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