
こんにちは。Mr.Tです。
今回は『セルベックス』と『ムコスタ』の違いについてです。
『セルベックス』と『ムコスタ』の違い。
ムコスタ:一般名はレバミピド
セルベックス:一般名はテプレノン
どちらも胃粘膜を保護する薬です。
細かい作用機序は違いますが、胃粘膜を守るという目的でどちらも使われます。
どの診療科でも出されますが、特に整形外科や歯科などでロキソニンやボルタレンなどの痛み止めとセットで出されることが多いです。
これら2つの薬は何が違うのでしょうか?
医師は意図があって使い分けをしているのでしょうか?
今回は『セルベックス』と『ムコスタ』の違いについて具体的に説明していきます。
食事の影響を受けるかどうか?
ムコスタは食事の影響を受けませんがセルベックスは受けます。
ムコスタは食事の影響を受けないのでどのタイミングで飲んでも大丈夫ですが、セルベックスは空腹時に服用すると吸収が悪くなるので、食後に飲まなければいけません。
セルベックスを空腹時に服用すると健康な人で23%、胃潰瘍の人では98%も*AUC(血中濃度曲線下面積)が低下することがわかっています。
*AUC:体内に取り込まれた薬の量を示す指標
頓服で飲むことが多い痛み止めとセットで飲むときは、食事の影響を受けないムコスタの方が使いやすいです。
効き目の強さや適応症など
ムコスタとセルベックスの効果の優劣をつける臨床試験は今のところありません。
どちらとも適応症は同じなので厳密な使い分けは必要ないとされています。
商品名 | ムコスタ | セルベックス |
一般名 | レバミピド | テプレノン |
薬効分類 | 胃炎・胃潰瘍治療剤 | 胃炎・胃潰瘍治療剤 |
適応症 | ・急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の 胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫) ・胃潰瘍 | ・急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期の 胃粘膜病変(びらん・出血・発赤・浮腫) ・胃潰瘍 |
用法 | 1日3回 (胃潰瘍の場合は朝・夕・就寝前) | 1日3回、食後 |
食事によるAUCへの影響 | 空腹時に服用すると吸収は早まるが、AUCには影響しない | 空腹時に服用するとAUCが23%低下 |
その他の違い
OTC(市販薬)で売っている?
ムコスタは販売してませんが、セルベックスは販売されています。
様々な商品がありますが、代表的な商品はセルベールシリーズです。
H2ブロッカーとの併用
ムコスタはH2ブロッカーとの併用で上乗せ効果はありませんが、セルベックスはある程度の上乗せ効果があると報告されています。
まとめ
ココがポイント
- 食事の影響を受けるのがセルベックス、受けないのがムコスタ
- 効能効果に大きな違いはない
- 厳密な使い分けはない
- OTCではセルベックスのみ販売されている
- H2ブロッカーとの併用はセルベックスの方がよい
2つの間にそこまで大きな差はありません。
しかし、ポイントとなるのは食事による影響です。
セルベックスは食事の影響を受け、空腹時だと効果が落ちてしまいます。
整形だとロキソニンやボルタレンとセットで出されることが多いので、ロキソニン・ボルタレンの空腹時もオススメできませんし、胃を保護するという目的を果たせなくなってしまいます。
セルベックス、ムコスタどちらもメリット・デメリットがあるので、患者さんが使いやすい方を提案できるように知識をつけておきましょう。
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以下の記事もご覧ください。
参考文献
- 薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100 [児島悠史]
- ムコスタ錠 添付文書
- セルベックスカプセル 添付文書
- ムコスタ錠 インタビューフォーム
- セルベックスカプセル インタビューフォーム
対象者
- 薬剤師
- 服薬指導をレベルアップしたい人
- 薬の使い分けを知りたい人
- 同種同効薬の違いを知りたい人
調剤業務に携わる人には必携の参考書です。
非常にわかりやすく説明されており、服薬指導時によく聞かれる質問が満載です。
薬の使い分けに関しては患者さんからよく聞かれるので、この本に書かれている知識ぐらいは最低限欲しいところです。
文章が平易で、イラストや図も多いので新人や調剤初心者、ブランクがある人にもオススメです。
非常にわかりやすく解説されていますが、ボリュームが多いので興味があるところから読んでいきましょう。
Mr.Tが自信を持ってオススメできる一冊です。
ココがポイント
- 服薬指導時によく聞かれる質問をわかりやすく説明
- 同種同効薬の使い分けを説明
- 現場ですぐに使える内容が満載
- 参考文献もしっかりと掲載