【前立腺肥大症薬一覧】前立腺肥大症の治療薬の使い分けについて徹底解説

2021/8/12(木)

 
こんにちは。Mr.Tです。
今回は前立腺肥大症の治療薬の使い分けについてです。
 

前立腺肥大症。

前立腺肥大症の治療薬は大きく分けて4つに分けられます。


  • α1受容体遮断薬
  • ホルモン系薬
  • 非ホルモン系薬
  • 5-PDE(ホスホジエステラーゼ)阻害薬 

 

以上の4つです。

薬物療法は軽度から中等症の患者が適応となります。

第一選択薬はα受容体遮断薬です。

交感神経系の機能亢進による下部尿路閉塞を解除し、自覚症状を改善することが目的です。

ホルモン系薬は、前立腺の体積を縮小させることによって下部尿路通過障害を改善します。

刺激症状があるときは非ホルモン系薬を使い、自覚症状の改善を図ります。

作用機序が同じでも成分によって使い方に違いが出てきます。

今回は前立腺肥大症の治療薬の第一選択薬であるα受容体遮断薬を中心に、同種同効薬の違いについて説明していきたいと思います。

 

前立腺肥大症の治療薬一覧

 

α受容体遮断薬

α受容体遮断薬は有効性、安全性の面から第一選択薬として使用されています。

前立腺の縮小作用はありませんが、前立腺、尿道および膀胱三角部に分布するα受容体サブタイプを介する交感神経の作用を阻害することにより、下部尿路組織平滑筋の緊張を緩和して尿道内圧の上昇を抑制し、機能的閉塞による排尿障害を改善します。

α受容体のサブタイプはα1A1B1Dの3種類があります。

前立腺平滑筋には主にα1Aが分布しているため、排尿障害は主にα1A受容体が関与していると考えられています。

α1Bは主に血管平滑筋に分布し、収縮に関与していると考えられており、排尿障害への関与は少ないと考えられています。

α1D前立腺及び膀胱平滑筋に分布しており、頻尿や尿意切迫感などの蓄尿症状を含む下部尿路症状に関与しているとの報告もあります。

α受容体のサブタイプの作用は明確には解明されていませんが、前立腺肥大症に用いる場合はα1Aやα1D選択性がより高くα1B選択性の低い薬剤が安全性の面から有効と考えられます。

α1受容体遮断薬(第一世代)


  • ミニプレス
  • バソメット
  • ハイトラシン 
  • エブランチル

 

α1受容体遮断薬の第一世代と呼ばれるこれらの薬は降圧薬として開発され、後に前立腺肥大症治療薬として許可されました。

そのため、サブタイプの選択性はなく降圧作用が発現する可能性があるため、低用量から開始し、血圧低下や起立性低血圧などの血圧変動に注意しながら増量していくことが望ましいです。

 

α1受容体遮断薬(第二世代)

ハルナールD

α1受容体に対して高い親和性があり、選択性もあるため広く使用されています 徐放性製剤であるため、1日1回投与で済みます。

また、服用後約8時間で血中濃度がピークに達するので、起立性低血圧が起こりにくいとされています。

フリバス

α1Aとともにα1D受容体に対して高い親和性を持ちます。 半減期が15.2時間と長いため、1日1回投与で済みます。

服用後、約1時間で血中濃度がピークに達するので、投与初期や増量時には起立性低血圧を起こす可能性があり、低用量から開始していくのが望ましいです。

ユリーフ

他の薬剤と比較してα1A受容体に高い親和性を持ち、さらに選択性も高いため血圧低下などの副作用が少ないと言われています。

また、α1D受容体にも選択性を示します。

1日2回投与です。

服用後、約1時間で血中濃度がピークに達するので、投与初期や増量時には起立性低血圧を起こす可能性があり、低用量から開始していくのが望ましいです。

射精障害が17.2%と高い頻度で見られます。

第二世代の使い分け


  • ユリーフ:強い排尿障害の改善
  • フリバス:射精機能の保持と蓄尿症状の改善 
  • ハルナールD:中間狙い

 

〇ハルナールD VS フリバス

有効性はほぼ同等です。

ハルナールDの方が尿意切迫感、尿勢の低下、最大尿流率の改善効果に優れます。

フリバスは夜間頻尿、膀胱刺激症状において効果がみられたとの報告があります。

 

〇ハルナールD VS ユリーフ

有効性はほぼ同等ですが、「副作用が少ない」、「1日1回が良い」などの理由からハルナールDの方を選択する意見が多いという報告があります。  

α1A受容体よりα1D受容体の発現が有意な場合もあるので、薬剤の効果には個体差があると考えらており、薬剤間の効果の違いの明確な比較は難しいとされています。

 

代謝・排泄

ミニプレス、エブランチル、フリバスは主に肝代謝なので、肝機能障害をもつ患者には慎重投与となっています。

バソメット、ハイトラシン、ハルナールD、ユリーフは肝代謝及び腎排泄それぞれの寄与がるため、腎機能及び肝機能障害のある患者には慎重投与となっています。  

 

ホルモン系薬


  • 抗アンドロゲン薬 
  • プロスタール
  • パーセリン

 

以下の作用機序があげられます。


  • 血中テストステロンの前立腺細胞への選択的取り込み阻害
  • 細胞内に取り込まれたテストステロンから5α-DHTへの還元阻害(パーセリンのみ)
  • ジヒドロテストステロンとアンドロゲン受容体の複合体形成阻害
  • 視床下部・下垂体へのネガティブフィードバックによる血中テストステロン値の低下 

 

抗アンドロゲン薬は前立腺腺腫を縮小させる働きがありますが、勃起障害、性欲減退などの副作用があり、効果発現まで1~2カ月必要であること、中断すると前立腺の体積は再度増大してしまうことなどの注意が必要です。

また、血清PSA値が低下するため、前立腺癌を合併している場合は早期診断が難しくなる可能性もあり、長期投与を必要とする症例では注意が必要です。

α受容体遮断薬との併用については、いまだ十分な臨床研究の報告は少ないです。

重篤な肝機能障害、肝疾患のある患者には禁忌となっています。

プロスタールは投与開始後3カ月間は1ヶ月に1回、それ以降も定期的に肝機能検査を行う必要があります。

 

5α-還元酵素阻害薬

デュタステリド

ガイドラインにおいて、前立腺腫大の明確な患者(前立腺体積が30mL以上)に対して推奨グレードA(行うように強く勧められる)とされており、有効性も認められています。

テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換する1型及び2型の5α-還元酵素を阻害し、前立腺組織中のジヒドロテストステロン濃度を低下させます。

通常、治療効果を評価するために約6カ月の治療期間が必要です。

副作用として勃起障害、性欲減退や乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛など)が報告されています。

α1受容体遮断薬との併用については単独治療に比べて有効性が示されているとの報告があり、前立腺体積が30mL以上など比較的重症な症例に対して推奨されています。

 

非ホルモン系薬

植物エキス薬


  • エビプロスタット 
  • セルニルトン

 

炎症の除去に使われます。

アミノ酸

パラプロスト 浮腫の除去に使われます。

漢方


  • 八味地黄丸
  • 牛車腎気丸  
  • 猪苓湯  

 

排尿筋の収縮力低下や感覚異常の症状を改善します。  

 

PDE-5阻害薬

ザルティア

ザルティアはPDE(ホスホジエステラーゼ)-5という酵素を阻害し、血管平滑筋弛緩による血流改善、尿道・前立腺・膀胱頸部の平滑筋弛緩、膀胱からの求心性神経活動の抑制といった作用を有し、前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善します。

 

まとめ

前立腺肥大症治療薬には様々なものがありますが、今回は第一選択薬であり、よく使われるα1受容体遮断薬(第二世代)について詳しく説明してきました。

同じα1受容体遮断薬でもサブタイプに対して親和性が違い、効き方が違ってきます。

初めて処方されたとき、または処方変更があったときに医師が何を意図しているのかを読み取り、患者さんにきちんと説明できるようになりましょう。

 

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参考文献:

  1. https://med.nippon-shinyaku.co.jp/zalutia/qa/
  2. 違いがわかる!同種・同効薬 改訂第2版
  3. 日経DIクイズ 17

4.5
この本の対象者

・薬剤師などの医療従事者
・服薬指導をレベルアップさせたい人
・同種・同効薬使い分けを知りたい人

同種・同効薬の違いをわかりやすく実践的に解説した本です。

作用機序が全く違う薬であれば薬を変更した理由は何となくわかると思いますが、作用機序が同じ薬に変更されたときにその理由がすぐに浮かんでくるでしょうか?

そんな時にとても役立つ一冊です。

もちろん、作用機序が違う薬に関しても使い分けが説明されているので、服薬指導にとても役立ちます。

 

POINT

・同種同効薬の違いを詳しく説明
・一覧表も満載で違いが一目で違いがわかる
・薬剤変更時の服薬指導に大活躍

 

4.5
この本の対象者

・薬剤師
・知識をもっと深めたい人
・様々な処方、薬の使い方を知りたい人
・自分の力を試したい人

「日経ドラッグインフォメーション(日経DI)」誌で大好評連載中の「日経DIクイズ」シリーズ、第17弾です。

普段の投薬に役立つ内容から少しマニアックな内容まで幅広くクイズ形式で学べます。

新人や初心者にはオススメはしません。

ある程度知識がついてから読むと面白いのですが、知識がないまま読んでも面白くありません。

この本で気づくこと、学ぶことは多いのですが、自分の力試しだと思って読み始めてください。

 

POINT

・服薬指導に役立つ知識が満載
・初歩的な内容からマニアックな内容まで幅広い
・「症例に学ぶ 医師が処方を決めるまで」で処方意図がわかる
・自分の知識がどこまで通用するかがわかる