
こんにちは。Mr.Tです。
今日は薬剤師がなぜ投薬時に「どうなされましたか?」と聞くのかについてです。
投薬時に薬剤師から
「どうなされましたか?」
と、聞かれた経験がある人は多いと思います。
診察時に医師に症状を話したのになぜ薬剤師にも症状を話さなければならないのかと思う人も多いでしょう。
「さっさと薬よこせよ」
と言われることも多いです。
今回はなぜ薬剤師が「どうなされましたか?」と聞くのかを説明していきます。
処方箋には病名は書いてない
処方箋には患者の氏名や保険情報、処方された薬、医療機関の情報しか記載されていません。
患者の病名までは記載されていないのです。
「病名がわからないのに薬を出したり、指導したりするのか!」
と怒られそうですが、実際にはそうなのです。
出された薬からある程度病名は予測できますが、薬には様々な疾患に適応を持つものもあり、予測できないことも多いのです。
なので、患者さんに質問し、自分が予想した病名と答え合わせをしているのです。
処方箋に病名を記載すればOK?
薬剤師としては処方箋に病名を記載してもらえると助かります。
しかし、これは今のところ様々な問題があるので不可能です。
プライバシーの問題
人に自分の病名を知られたくないとか、医師があえて病名を伏せて薬を出しているなどがあります。
現在では患者に病名を告知することが多いですが、昔は正直に伝えないことが多かったのです。
例えば「がん」などは告知されたら精神的にかなりショックを受けてしまいますよね。
あえて患者には病名を伝えないで薬を出すということも多いのです。
病名が不確定
医師は神様ではありません。
わからないこともあるし、間違うこともあります。
1度の診察で病名を判断できないこともあります。
しかし、病名をつけないと薬を出すことができないのです。
可能性がありそうな病名をつけて薬を処方することもあります。
仮の病名をつけないとレセプトを送れないので。
*レセプトとは、医療機関が保険者(市町村や健康保険組合)に請求する医療報酬の明細書のことです。
「病名わからないけど薬は出します。」
は、通用しないですよね。
適応外処方
適応外処方とは、承認されている効能・効果以外の目的で使用する処方です。
適応外処方はたくさんあります。
例として、シメチジンは胃酸の分泌を抑える胃薬に分類されますが、適応外処方で肩関節の石灰沈着性腱板炎という肩に激しい痛みを起こす疾患に使われる事があります。
レセプトに石灰沈着性腱板炎と記載してシメチジンを出すことはできません。
あくまでもレセプトに記載できるのは適応内、承認されているものだけです。
なので、処方箋に適応外処方の病名を記載するのもマズイですよね。
まとめ
ココがポイント
- プライバシーに配慮
- 病名が判断できない時のため
- 適応外処方のため
以上の理由により、処方箋に病名を記載することは難しいのです。
それ以外にも様々な理由があると思いますが、おおまかな理由はこれらだと思います。
しかし、現在では処方箋に患者の血液検査の結果の検査値を載せる処方箋も多くなってきています。
病院、薬局間で病名を暗号化し、患者にわからないようにして処方箋に病名を記載することも可能なのでは?と思います。
うちのように面でやっていて、全国から処方箋が来るような薬局では暗号化されても意味ないのですが。
以上より、薬剤師も「どうなされましたか?」と聞くのを患者が嫌がるのはわかってます。
二度手間なのは重々承知しているので、聞かれたら素直に答えてくれるとこちらとしては助かりますのでよろしくお願いします。
嫌々答えたり、ムスッとするよりも素直に答えてくれた方が薬剤師には好印象ですし、対応もよくなりますよ(笑)
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