こんにちは。Mr.Tです。
今回はニキビとステロイドの関係についてです。
ニキビとステロイド。
ニキビは主に思春期によく出る症状ですが、大人になっても生活習慣の乱れやストレスで悩まされる人が多いと思います。
Mr.Tもそうです。
不規則な生活や過度のストレスなどでホルモンバランスが崩れるとすぐに顔に出てしまいます。
症状がひどい場合は皮膚科に行った方がいいのですが、軽度であればOTC(市販薬)でもニキビの治療薬は販売されています。
一般的にニキビの治療薬は炎症とアクネ菌を抑える成分が配合されていますが、ステロイドは配合されていません。
皮膚に炎症が起こったときにステロイドが使われることが多いのにも関わらず、何故ニキビの治療薬にステロイドは入っていないのでしょうか。
今回はニキビとステロイドの関係について説明してきます。
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Contents
ニキビにステロイドを使っていい?
基本的に使ってはいけません。
医療用、OTC共にニキビに適応があるステロイドはありません。
あくまで一例ですが、医療用の薬をみてみましょう。
塗り薬
- デュアック配合ゲル
- ディフェリンゲル0.1%
- ベピオゲル2.5%
- エピデュオゲル など
抗生物質(内服)
- ビブラマイシン
- ミノマイシン など
これらの薬が処方される頻度が高いです。
上記で挙げた塗り薬はどれもステロイドが配合されていません。
作用機序などの詳細は省きますが、炎症を抑える効果が強く、ニキビの原因となるアクネ菌などを抑えてくれる効果があります。
これらの塗り薬は脱色作用があるので、髪の毛や服についてしまうと色が抜ける可能性があるので注意しましょう。
もっと詳しく
OTCにもニキビの薬は販売されていますが、成分が全く異なります。
はっきり言って医療用と比べ物になりません。
OTCはあくまで軽度の症状に使うため、広範囲に症状が出ている場合は早めに皮膚科に行きましょう。
ステロイドについて
ステロイドは免疫力を低下させる
ニキビは炎症を伴います。
ステロイドが炎症を抑える効果があるのに使用してはいけない理由は、免疫力を低下させるからです。
炎症を抑えたとしても免疫力が低下すると、そこからまた感染しやすくなってしまいますね。
ステロイドはニキビの炎症を抑える作用はあります。
しかし、一時的に改善する可能性はありますが、皮脂のつまりや細菌の増殖といった根本的な問題を解決することができません。
また、顔などの皮膚の薄い部位へのステロイドの使用は副作用のリスクも高いので、なるべく控えた方がいいです。
塗り薬のステロイドで皮膚が黒くなる? ステロイドの副作用について徹底解説
ステロイドが使用されることもある
実際に皮膚科でニキビにステロイドが処方されることはあります。
しかし、広範囲で症状がひどい場合には使いません。
- 炎症がひどく、かゆみが強い場合
- 症状が広範囲ではない場合
以上のような症状の時に処方されることが多いです。
代表的なステロイドであるリンデロンVの添付文書には以下のように記載されています。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
細菌・真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬、けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある。]
禁忌の枠にはっきり使ってはいけないと書いていますね。
しかし、このような記載もあります。
効能・効果に関連する注意
皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことを原則とするが、やむを得ず使用する必要がある場合には、あらかじめ適切な抗菌剤(全身適用)、抗真菌剤による治療を行うか、又はこれらとの併用を考慮すること。
これを見るとやむをえない場合はあらかじめ抗菌剤を使うか、抗菌剤とステロイドを併用すればいいことになりますね。
では、抗生剤とステロイドが配合されたリンデロンVGではどうでしょう?
禁忌 (次の患者には投与しないこと)
真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬,けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある。]
リンデロンVと同じですね。
リンデロンVで記載されていた「効能・効果に関連する注意」は、リンデロンVGでは記載がありません。
基本的にはニキビにステロイドを使用してはいけませんが、やむを得ない場合は抗生剤と一緒にステロイドを使えば問題ないと受け取ることもできます。
-
リンデロンシリーズの違い・種類について徹底解説【強さ・ランク】
OTCでは?
OTCにもステロイドと抗生物質が配合されている薬は多数販売されています。
ステロイドには強さが5段階あります。
- ランクⅠ(Strongest): 最も強い
- ランクⅡ(Very Strong):非常に強い
- ランクⅢ(Strong):強い
- ランクⅣ(Medium):普通
- ランクⅤ(Weak):弱い
OTCで一番強いものはランクⅢです。
ランクⅢであれば、長期間でなければ顔に塗ることもできます。
しかし、基本的にはどの商品もニキビに適応はありませんし、使い方を誤ると免疫力が低下してしまい、悪化する可能性があります。
OTCは使用しない方がいいでしょう。
ステロイドのランクについての記事はこちらから⇩
-
【ステロイド一覧】ステロイドの種類について徹底解説【強さ・ランク】
Mr.Tの経験
ここからはMr.Tの経験ですので参考程度にお願いします。
正直言うと、肌トラブルで悩んでいるのであれば皮膚科に行った方がいいです。
Mr.TもニキビでOTCを使いましたが、ニキビ薬はどれも効きませんでした。
上記で説明した通り、医療用医薬品と比べると効果が劣るからです。
また、内服の抗生物質もOTCでは販売されていません。
Mr.Tは内服ではビブラマイシン・ミノマイシン、塗り薬ではディフェリンゲルを使ったことがあります。
OTCを使ってよくならず、悩んでいたのがウソのように炎症が引いていきました。
「病院に行くのは面倒臭い」、「皮膚科に行くのは少し抵抗がある」という人がたくさんいると思います。
Mr.Tもそうです。
だから、OTCで治そうと思ったのですがダメでした。
OTCでは効果がないと感じた人はなるべく早く皮膚科に行った方がいいです。
皮膚科に行く時間がどうしてもないという人もいると思います。
Mr.Tも正直そうです。
医療用医薬品がない時はMr.Tは「テラコートリル軟膏」を使っています。
この医薬品はステロイドと抗生物質が配合されているものです。
上記でOTCを使わない方がいいといいながらガンガン使ってます…
しかし、あくまでも軽症、長期間使用しないという条件付きです。
実際にお客さんにオススメしたこともありますが、最終手段といったところです。
自分で使って何か副作用が出たとしても責任は取れませんので、やはり皮膚科に行くのがベストなんですよね。
まとめ
今回はニキビとステロイドの関係について説明しました。
ココがポイント
- ニキビで悩んでいるのであれば早めに皮膚科へ
- ステロイドは免疫力を低下させるので使わない方がいい
- 抗生物質配合の薬もあるが、個人で判断して使用するのは危険
長々と書きましたが、3行で済みます。
しかし、患者の症状によって様々なタイプの処方が来るのも事実。
症状によって医師たちはその治療法にあった薬を処方します。
その中にはステロイドが有効と判断されることもあるということです。
OTCも患者の症状や状態によって様々な選択肢があります。
受診勧奨をしなければならないが、受診できる状況ではない。
「受診できるまでの繋ぎ」という形で薬をオススメすることもあります。
何でもかんでも添付文書通りにダメダメ言うのが本当の薬剤師の姿なのでしょうか?
今回紹介した知識は登録販売者では難しいと思いますが、薬剤師としては常識的なことでもあります。
目の前の患者さん・お客さんにあった治療法や薬を提供するのが本来の薬剤師の姿だと思うのですが。
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