
こんにちは。Mr.Tです。
今回はQRコード付きの処方箋についてです。
QRコード付きの処方箋。
QRコード付きの処方箋を見たことがあるでしょうか?
面でやっている薬局ではほとんど見たことがあると思います。
大きな病院ではほとんどQRコードが付いている印象がありますし、個人のクリニックでも増えてきています。
しかし、QRコードが付いていても薬局に対応できる設備が無ければまったく意味を成しません。
Mr.Tがいる薬局でもQRコード付きの処方箋に対応できるようになったのはここ数年のことです。
QRコードが付いている処方箋は、「ピッ」とスキャンするだけで患者情報などがすべてレセコンに入力されるので、入力する時間を節約できるのが最大のメリットです。
しかし、実際に使ってみると使いにくい場面もあります。
今回はQRコード付きの処方箋のメリット・デメリットについて説明します。
Contents
メリット
圧倒的な入力スピード
手打ちで入力するよりも圧倒的に早く入力することができます。
病院側で入力したデータがそのまま薬局のレセコンに反映されるので、患者情報・保険情報・処方内容などすべてのデータが一瞬でレセコンに取り込まれます。
仕事の効率化
処方入力をする時間が削れるので、調剤事務の人件費を浮かせることができます。
入力をする調剤事務の削った時間をピッキングや他の仕事に回すこともできるので、仕事がより効率的になります。
もっと詳しく
読めない漢字も自動で入力
中には難しく、読めない漢字も多いです。
特に患者さんや医師の名前、病院名など…
キラキラネームに頭を抱える調剤事務・薬剤師が多いと思います。
読めないと、手打ち入力だとここで躓いてしまいます。
IMEパッドを使ってなんとかする…という人が多いと思いますが、意外と時間がかかります。
しかし、QRコードはスキャンするだけですべてレセコンに入力され、読めない漢字も自動的に入力してくれるのでとても楽です。
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【パソコン・文字入力】消えたり変換ミスでイライラ… パソコンの文字入力のテクニックについて
細かい情報も漏れなく入力
患者情報や処方内容などの重要な項目は集中して間違えないように入力する人が多いのですが、調剤日や病院情報等、細かい項目はあまり意識せずにスルーしてしまう人が多いです。
このような細かい項目もQRコードでは網羅されているので、入力ミスなどをする確率が手打ち入力より低くなります。
特に調剤日と処方日が違う場合に、処方日を直すことを忘れる人が多いので要注意です。
デメリット
入力の間違いに気づきにくい
機械なので、病院で入力されたデータを薬局のレセコンに完璧に再現してくれます。
ここで落とし穴があります。
「機械だから間違うはずがない」
と思ってしまう人が多いのです。
機械ですが、処方箋にデータを入力しているのは「人」です。
病院で医師か事務かはわかりませんが、入力しているのは紛れもなく「人」なのです。
「人」なので間違いはあります。
このことを理解していないと、いざQRコードで入力した情報と処方箋を見直すときに入力間違いに気づきにくくなります。
意図しない入力がされることがある
病院側と薬局側の入力が一致しないことが多々あります。
例えば眼科の処方。
病院側の入力例
Rp.1
クラビット点眼液0.5% 5mL
フルメトロン点眼液0.1% 5ML
1日3回
このように病院が入力したとします。
QRコードで読み取ると、このまま薬局のレセコンに上記の情報が入力されます。
薬局でこのまま入力するとダメな理由はわかりますね。
病院側の入力方法では、薬局側ではクラビットとフルメトロンを混合して出すようにという指示になってしまいます。
計量混合加算なども算定されるので、仮に混合せずに1本ずつお渡ししても金額がズレてしまいます。
確実に返戻対象です。
以上の理由から、以下のように手打ち入力で打ち直す必要が生じます。
薬局側の入力例
Rp.1
クラビット点眼液0.5% 5mL
1日3回
Rp.2
フルメトロン点眼液0.1% 5ML
1日3回
このことに気づかず、訂正せずに調剤してしまう可能性が高くなるので注意が必要です。
また、目薬は「mL」と「本」の2通りの表記があります。
病院側では「10mL」の表記なのに、薬局側では「10本」になってる…
なんてこともあるので、眼科の処方には特に注意しましょう。
レセコン入力のあるあるについての記事はこちらから⇩
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レセコン入力は難しい? Mr.Tのレセコンあるあるについて一挙紹介
パックやセットなどの特殊な入力が必要な薬に対応していない
チャンピックス、オテズラ、イメンドはパックやセットがあります。
病院側では「チャンピックス錠スタート用パック」と入力されますが、薬局側ではスタート用パックでは入力することができません。
初見でこれらの薬を完璧に入力できる人は少ないと思います。
手打ち入力で最初から打ち直す必要があります。
パックやセットなどの特殊なレセコン入力についての記事はこちらから⇩
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初見じゃ無理… パックやセットなどの特殊なレセコン入力について徹底解説
文字数が多いと中途半端になる
日本人であれば入力ができなくなるぐらい名前が長い人はあまりいませんが、外国人だと入力欄からはみ出してしまうことが多々あります。
外国人は英語表記やカタカナ表記で入力します。
この場合、手入力であればどこを削るか、スペースの場所をどうするかなどをその場で判断できますが、QRコードではできません。
病院側の入力通りにレセコンに入力されるので、途中で切れていたり意図しないところにスペースがあったりなど、訂正が面倒になります。
また、病院の情報も処方箋に載っているので、病院の正式名称や住所なども自動で登録されます。
きちんと見ておかないと、上記で説明したのと同じで途中で切れていたりすることがあります。
病院の名称や医療機関コードが間違っていると返戻対象にもなるので、新規の病院の処方箋をQRコードで受け付けたときは特に注意しましょう。
ジェネリックの変更を見落としやすい
病院側が選んだジェネリックが薬局にない場合や、薬局で変更したい場合は手打ち入力で変更しなければなりません。
手打ち入力の場合は自分で一から選択するので在庫の有無を把握しながら選択することができるのですが、QRコードでは病院側が選択したジェネリックが直接入力されます。
ジェネリックは様々なメーカーがあり、語尾の「会社名」ぐらいしか違いが無いので、注意深く見ないと在庫が無いのにそのまま入力してしまうという事例がとても多いです。
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オーソライズド・ジェネリック(AG)一覧
レセコンの入力スキルが落ちる
QRコードを使っていると、手打ち入力のスキルが落ちます。
手打ち入力を使わなくなるということはありません。
QRコードで間違った箇所を訂正、患者さん用にコメントの入力など、手打ち入力が活躍する場面は多いです。
レセコンによって違うかもしれませんが、Mr.Tが使っているレセコンは用法などを入力するための「コード」があります。
あまり使わないコードは忘れやすいのに、QRコードを使うと更に拍車がかかります。
QRコードがメインの薬局でも、たまには手打ち入力でコードの確認をしておいた方がいいでしょう。
導入費用がかかる
新しい機械を導入するのでどうしても費用がかかってしまいます。
門前薬局でほぼQRコード付きというのであれば絶対に導入すべきですが、QRコード付きの処方箋があまり来ない、面でやっているから採算があまり取れないというのであれば導入を渋ると思います。
有線のコードが邪魔
個人的な感想なのですが、Mr.Tの薬局では音声認識の薬歴の為のマイク、医薬品を発注するためのスキャナー、QRコードを読み取るためのスキャナーの3種類が1つのパソコンに繋がっています。
すべて有線で場所も狭いため、コード同士がこんがらがります。
間違って使ったり、落としてしまうこともあります。
非常にストレスです。
きちんと整理・整頓をしてつかわないとMr.Tの薬局みたいになりますのでご注意を。
使い分け
新患だったら絶対にQR
新患の処方入力ほど面倒な入力はありません。
患者情報、保険情報、病院情報、処方内容…
これらを手打ちで入力するよりQRコードを使った方が断然早いです。
DO処方だったら手入力
いつも来ている患者さんでDO処方だったら手打ち入力の方が早いです。
これは、レセコン入力やパソコン入力が得意な人ほど手打ち入力の方が早いと思います。
苦手な人はQRでいいかもしれないです。
レセコンに慣れてくると注意しなければならない箇所が自然とわかるようになってきます。
押さえるべきポイントがわかってくると、手打ち入力の方が早くなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
使う人によってメリット・デメリットは様々だと思います。
デメリットの方を多く書きましたが、QRコードを導入できる環境にあるのであればQRコードを導入した方が断然楽です。
一人薬剤師だと受付から投薬まですべて一人でこなさなければならないため、処方入力で時間を削れるのであれば手間もそうですし、精神的にも余裕を持つことができます。
Mr.Tがいる薬局では調剤事務がいて、薬剤師も複数人数で回してますが、夜の遅い時間帯や祝日などは一人薬剤師で薬局を回さなければなりません。
大いにQRコードを活用しています。
新しいものには何事もメリット・デメリットがあるので、有効に活用できるようにしていければなと思います。
QRコードの設備を導入する際にぜひ、参考にしてみてください。
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