薬局の改善に「SWOT分析」をしてみてと言われたんだけど、SWOT分析って何?
簡単にできるものなの?
SWOT分析とは、経営政策や戦略、方針などを考えて決める際に使われる分析ツールのことだよ。
難しそうに聞こえるけど、順を追って進めていけば誰でも簡単にできるよ。
SWOT分析とは、経営政策や戦略、方針などを考えて決める際に使われる分析ツールです。
あなたが勤務している薬局の強みや弱みは何か考えたことがあるでしょうか?
冷静に自分が勤務している薬局の状況や環境を分析し、長所・弱点をはっきりさせることで更なるレベルアップが図れます。
今回は薬局におけるSWOT分析について説明します。
具体例として、Mr.Tが行ったSWOT分析も載せます。
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Contents
SWOT分析とは?目的は?
SWOT分析とは、経営政策や戦略、方針などを考えて決める際に使われる分析ツールです。
自分が勤務している店舗の状況や環境を分析し、長所・弱点をはっきりさせることで更なるレベルアップが図れます。
戦略を立てたい企業、店舗の環境を以下の4つの区分に分けて分析します。
- S:Strength(強み)
- W:Weakness(弱み)
- O:Opportunity(機会)
- T:Threat(脅威)
この4つはさらにチャンス領域とリスク領域に分けることができます。
チャンス領域
- S → 活かす
- O → 成長やビジネスのチャンス
リスク領域
- W → 守る、撤退する
- T → ピンチ
SWOT分析による戦略・読み方
内部環境 | ||||||
S:強み | W:弱み | |||||
外部環境 | O:機会 | (S × O)積極的展開 | (W × O)差別的戦略 | |||
強みを活かす | 弱みを克服しつつ機会を活かす | |||||
T:脅威 | (S × T)対抗 | (W × T)守備・撤退 | ||||
強みを活かし脅威に対抗する | 守りに徹し撤退も検討する |
SWOTに関しての説明は簡単ですが以上です。
S・W・O・Tのそれぞれの項目を列挙し、それに対する解決策を考えます。
とはいっても、これだけの情報ではどうすればいいのかわかりませんよね。
そもそもどうやってSWOTを列挙すればいいのかもわかりません。
SWOTを列挙するための材料を探してみましょう。
SWOT分析の材料
SWOT分析に取り掛かる前に、まず薬局としての目標を決めましょう。
薬局としての目標を定めないと、SWOT分析をする意味がありません。
目標を達成するために、SWOT分析を使って解決策を練るのです。
もっと詳しく
薬局内の長所・短所は何か?
SやWに直接つながるので、まず自店の長所・短所を探してみましょう。
- 待ち時間が短い
- 在庫金額が多い
- 接客が丁寧
- 調剤、OTCと仕事量が多い
- 人件費が高い
など、なんでも結構です。
思いついたものは取り敢えず残しておきましょう。
このアイデアは使えなさそう…
と思ったものでも後で使える可能性があるので、どんどん列挙していきましょう。
データ解析をする
自店の数字を解析しましょう。
- 処方箋枚数
- 売上
- GE率
- 客層
- 各数値の推移
などなど… 見なければいけない数字はたくさんあります。
上昇している項目は長所。
減少している項目は短所につながることがあります。
原因を究明することも必要です。
薬局の数字に関してはこちらの記事から⇩
【調剤報酬】薬局の数字は何を見ている? 調剤報酬集計表の見方について徹底解説
薬局外の環境要因
薬局も競争社会です。
どんどん新しい薬局が開局されていきます。
特にドラッグストアの調剤は更に競争が激しくなるでしょう。
薬局内だけでなく、薬局外を見ることも重要です。
例として
- 所在地の人口推移
- 少子化や高齢化率
- 病院やクリニックの所在地、状況
- 競合店の存在
などなど…挙げればキリがありません。
思いついたアイデアはひたすら列挙しましょう。
社会情勢は?
社会の情勢を見てみましょう。
個人の力では何ともできませんが、うまく波に乗ることはできるかもしれません。
例として
- 少子化・高齢化
- 人口減少
- 人手不足
- 薬価改定
- 調剤報酬改定
などなど…こちらも挙げようと思えばいくらでも挙げれますね。
過去を見てみると消費税アップやキャッシュレス推進などの国としての取り組みがありました。
キャッシュレスの取り組みで電子マネーを使う人が増えました。
Mr.Tがいる薬局では「クレジットカード、電子マネーが使えるから来局している」という患者さんもいます。
時代の変化と共に薬局も変わっていかなければなりません。
もっと詳しく
各S・W・O・Tに当てはめてみる
以上で材料は揃いました。
各々S・W・O・Tに当てはめてみましょう。
Mr.Tが実際に過去に行ってみたSWOT分析を載せてみます。
これが正解ではないので個人でよく考えてみましょう。
S:強み
- 待ち時間が短い
- OTCの相談可能
- 備蓄医薬品数の多さ
- 廃棄金額の少なさ
- 調剤の会計でポイントがつく
- 待ち時間の間に買い物可
- 家が近いので後で取りくることが可能
- 営業時間の長さ
W:弱み
- 門前と比べて医薬連携ができない
- 疑義照会できない時間帯が多い
→クレームの増加、信頼の低下 - 予製が作れない
→時間がかかる - 在庫金額が多い
- 個人による意識の差
→加算やGE率など - 人件費の問題
- 調剤、電話対応、OTCなど仕事量が多い。薬剤師1人の時は待たせてしまう患者、お客さんが多くなってしまう
→クレームの増加、信頼の低下
O:機会
- 管理栄養士による地域貢献
- イベント参加での地域貢献
- 買い物客への調剤アピール
- 患者家族、知り合いへの紹介
T:脅威
- 近隣店舗の開局
- 薬価改定によるマイナス改定
- 人口減少(緩やかに減少中)
- 集中率が一番高いクリニックの門前薬局が仮に新規開局すれば大打撃。現状その話は無し
もっと詳しく
クロス分析をする
SWOTの各項目を埋めたらクロス分析をします。
- S×O (強み×機会)
- S×T (強み×脅威)
- W×O (弱み×機会)
- W×T (弱み×脅威)
SWOTの2つずつを組み合わせてクロス分析をし、解決策を考えます。
例としてMr.Tのクロス分析を以下に挙げます。
S×O (強み×機会)
- 新規顧客の取り込み。地域貢献での薬局の紹介。
- 患者家族や知り合いの引き込み。待ち時間の短さや備蓄医薬品の多さ、ポイントなどをアピール。
- 24時まで営業のアピール
- FAX、ネット受付のアピール
S×T (強み×脅威)
- 他薬局から早期の患者引き込み。患者の求めているものに答える。
→スピード、在庫の豊富さ、OTC等
W×O (弱み×機会)
- 新規患者取込のために薬局のメリットを説明する時間を作る。(投薬時、OTC接客時、イベント時など)
- 調剤やってますアピール(のぼり、チラシなど)
W×T (弱み×脅威)
- 機械化による効率化
- 勉強会、教育による能力、意識改革
- 事務を入れ、薬剤師を減らす
- 1人の時間を作らない。
- →夜間以外は常に薬剤師、事務1人ずつ配置
- 他薬局が開局する前にアピールして患者を取り込む
完成例
各項目の字が小さくて見えずらいですが、上記で挙げた項目を当てはめただけです。
Excelを使えば簡単に作ることができます。
競合店の分析に役立てる
SWOT分析の表が完成したら、薬局の競合店やドラッグストアの競合店の分析に役立てましょう。
もう既に自分の薬局の強みや弱みは理解しています。
対策案も出ています。
競合店の強みや弱みを理解することで更なるレベルアップが図れるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
わかっているつもりでも実際にはあまり自分がいる店舗の現状を理解できていないものです。
SWOT分析をやるにあたり、薬局のスタッフと協力し合いながら行いました。
自分が思っているメリットが他のスタッフにとってはデメリットだったなど、スタッフによって感じることは違います。
様々な意見を聞く、取り入れる、理解することによって薬局としてのレベルが上がっていきます。
きちんと自店舗の長所・短所を把握している薬剤師は少ないです。
やってみると意外な真実に気がつけるかもしれませんよ。
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